電波感度をよくするケータイ・スポット・アンテナの開発Blog

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ドコモmovaの電波感度改善テスト(その2)

2005.11.11

前回、ビル地下でアンテナ設置前の発着信テストと電波測定を行いました。
テストの結果、NTTドコモのmovaは圏外になって通話できない状態でした。【図2】
 
今回、パッシブ・リピート・アンテナによる電波感度の改善実験を行ないました。
 
 
【図1】屋外用アンテナと基地局との設置環境
 
【アンテナ設置の概要】
基地局の見通せる3Fの窓際に屋外用の指向性アンテナを設置【図1】。
同軸ケーブル(45m)を使って、地下通路BとCの中間位置から、屋内アンテナでC、D、E位置の方向へ再放射しました。【図3】
 
設置前は通路Cの位置からEの位置にかけては圏外で、movaは全く使えない状態です。
今回は店舗休業日であったため、テストの範囲は地下通路だけで行いました。
 
 
【図2】アンテナ設置前のmovaの電波環境
 
 
【図3】アンテナ設置後のmovaの電波環境
 
【テスト内容】
使用した携帯 :NTTドコモ N251iS F212i 
測定機 :簡易インジケータ
上記、機器を使用し実際の使用感(発着信成功率や通話品質)と測定値を記録しました。
 
【アンテナ設置後】
■アンテナ直前(0m)のところ 
品質:発着信もスムーズで良好な音質で使えるようになった。
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクト表示 :圏外から3本に
受信感度レベル :48.1【dBμ】
 
■ アンテナから1〜6mのところ(C,D位置) 
品質:発着信もスムーズで良好な音質で使えるようになった。
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクト表示:圏外から3本に
受信感度レベル :26.9〜31.5【dBμ】
 
■アンテナから7mのところ 
品質:着信の時、電話をとると話中音になり繋がらない事があった。 
繋がれば、途切れや品質アラームが鳴ることがなく、おおむね安定通話ができた。
接続率:発信100% 着信80%
アンテナピクト表示:圏外が1〜2本に
受信感度レベル :21.6【dBμ】
 
■アンテナから8mのところ (E位置)
品質:着信の時、電話をとると話中音になり繋がらない事があった。 
発信の時は、相手を呼出しはするが、すぐに切れてしまうこともあった。
接続率:発信60% 着信60%
アンテナピクト表示:圏外が1本に
受信感度レベル :15.2【dBμ】
 
■アンテナから9mのところ
品質: アンテナピクトが0本になり、発信すると圏外になる。
接続率:発信0% 着信0%
アンテナピクト表示:圏外が圏外〜0本に
受信感度レベル :10.8【dBμ】
 
【図4】アンテナからの距離と受信感度
 
■まとめ
パッシブ・リピート・アンテナを使用することにより、圏外の場所でも屋内の再放射アンテナから7m先まで使えるようにmovaの電波環境を改善できました。
アンテナ設置後の受信感度レベルの変化をグラフにしてみました。【図4】
 
0〜6mまでは圏外でしたが、アンテナピクトが3本になり、スムーズな発着信と良い音質の通話を実現できました。受信感度は22dBμ以上を維持していましたが、8mにまで達すると受信感度レベルが下がり、繋がらなくなることが多くなりました。
 
今回は、屋外アンテナから屋内アンテナまでの同軸ケーブルを、45mも引き伸ばしたので、同軸ケーブルでの損失も約7dBとなりました。
45mというは相当な長さですから、仮にケーブルの距離が20m程度なら、
今回のケースであれば9m〜10mくらい先まで改善できていたと思います。
 
今回、同じ場所でFOMAとmovaのテストを行うことができました。
テストによりmovaに比べてFOMAの電波が届きにくいこと(伝わる距離や回り込む力の違い)が改めてわかりました。movaと同じ面積をFOMAでカバーしようとすると、基地局が3〜4倍いると言われていますが、このあたりのことなのでしょう。
1.7GHzで新規に事業認可されているようですが、一時期ソフトバンクが800MHz帯の免許にこだわっていたのが分かるような気がします。
 
 
今まで、ケータイが圏外、もしくは弱電のために使えない、というビル地下でパッシブ・リピート・アンテナによる改善テストを行ってきました。
これらの実験から貴重なデータを得ることができました。
現在、その成果をアンテナの開発に生かしていますが、高層マンションではビル地下などとは違う電波環境のため、ケータイが使えない状態になります。
 
今後は、高層マンションでの携帯が使えない問題を改善するパッシブ・リピート・アンテナの開発と、実験のレポートをしていきます。

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ビル地下のmova電波感度改善テスト

2005.11.10

FOMAの普及が進んで、最近は広告もほとんどなくなったmovaですが、ドコモユーザーの半分以上はまだmovaです(年度末にはFOMAが逆転するようです)。
800MHzのmovaの電波は、2000MHz(2GHz)のFOMAと比べてどう違うのか?
FOMAをテストした同じビル地下のフロア通路で実験してみました。
 
 
【図1】実験したビル近隣の環境
 
立地条件:駅前に20階建てビルの屋上に基地局①があります。ほかに基地局②③もありますがFOMAの時と同じく基地局②③からはほとんど電波が届いておらず、基地局①と通信していました。【図1】
ビルの周囲で定点を決めMOVAの受信レベル値を測定しました。その時の電波測定値を【図2】に示します。
 
 
【図2】ビル周りの電波環境
 ビル周囲のmovaの受信感度レベルは42〜48【dBμ】と良好な結果でした。【図2】
 
ここで受信感度レベルの単位が【dBμ】になっていますがmovaのPDC方式では、受信感度の表記が1μVを基準としているものが採用されています。
ちなみに、FOMAやボーダフォン3G、auはCDMA方式を採用しているので、受信感度レベルの単位が【dBm】で1mWを基準とした表記となっています。表示上少しややこしく見えますが、受信レベルの値が高いほうが良いということです。
 
 
【図2】mova受信感度レベルの目安
 
ビルの周辺は、電波状態は良好でした。
さて地下ではどうでしょうか?
 
【アンテナを設置する前の現状の電波環境】
使用した携帯:N251iS、F212i【写真1】
測定機器:簡易インジケータ
測定方法:簡易インジケータにて5回測定し、その平均値を使用
 
 
【写真1】左F212i 右N251iS
    
【写真2】簡易インジケータ
 
 
【図3】アンテナ設置前のmovaの電波環境
 
【地下への階段部分】
 
 
◆  階段A・B・C・D位置→発着信も通話の音質も問題なく良好
      接続率      :発信100% 着信100%
      アンテナピクト  :A→3本 B→3本 C→3本 D→3本
      受信レベル値  :23.2〜30.0dBμ 
 
◆ 階段E位置→発着信も通話の音質も問題なく良好
      接続率      :発信100% 着信100%
      アンテナピクト  :2本
      受信レベル値  :17.6dBμ 
FOMAはこの位置で発信できなくなり、繋がってもアラーム、途切れが発生しました。)
FOMAでは圏外表示になるときもあしました。)
 
【地下B1フロアの通路】
通路A位置発着信も通話の音質も問題なく良好
      接続率      :発信100% 着信100%
      アンテナピクト  :1本
      受信レベル値  :14.4dBμ 
            FOMAはこの位置で圏外になった)
 
◆ 通路B位置→発着信はできるが、音の途切れがあり最後には通話が切れてしまうことがあった。
movaが使えると言える状況ではなかった。
 
      接続率      :発信100% 着信100%
      アンテナピクト  :0〜1本
      受信レベル値  :14.0dBμ
 
◆ 通路C・D・E位置→圏外になり、発信・着信ともできない。
      接続率      :発信0% 着信0%
      アンテナピクト  :圏外〜0本
      受信レベル値  :1.2〜13.2dBμ
 
800MHz帯のmovaは、直進性が強い2000MHz(2GHz)帯のFOMAより、障害物等の後ろ側への回り込む電波特性があると言われています。実験でも、FOMAより地下フロア通路の奥にまで電波が届いていました。
通路AはFOMAでは圏外でしたが、movaは使えました。
回り込みに強いという800MHzの電波の特性を確認できたように思います。
しかし、階段を下り通路に入ると電波状態が急に悪くなり、圏外になってしまいました。
 
次回は、FOMAよりも伝わりやすいといわれるmovaの電波がパッシブ・リピート・アンテナによって、どれぐらい伝わり、エリア改善ができたかをお伝えします。

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ビル地下のau(CDMA1X)の電波感度改善テスト

2005.11.07

前回まで2000MHz帯の周波数を使ったドコモのFOMAとボーダフォン3Gの実験を行ないました。
実験の結果、
パッシブ・リピート・アンテナ
・ ドコモFOMAでは圏外の場所を約5mの範囲で改善できました。
・ ボーダフォン3Gでは圏外の場所を10mの範囲で改善できました。
 
今回は800MHz帯のau(CDMA1X)を実験しました。
 
【写真1】auの基地局
 
ビル地下への階段部分と地下(B1)のフロア通路での現状を調査しました。
最寄りのauの基地局は直線距離で500mくらいのところにありますが、見通すことはできませんでした。
 
ビルの1階部分での電波測定は以下の結果でした。【図1】参照
 
【図1】ビル周辺の電波環境(au CDMA1X)
 
ビル周辺の電波環境は【図1】のとおり受信レベル値が−75【dBm】以上、と、携帯電話使用において全く問題ありませんでした。
 
【アンテナを設置する前の現状の電波環境】
使用した携帯:A5507SA  A5405SA  A5407CA【写真2】
 
 
【写真2】左A5507SA 右A5405SA
測定機器:簡易インジケータ【写真3】
 
地上から地下への階段、地下通路を簡易インジケータで計測し、
au CDMA1X携帯で発着信テストメールを行いました。
結果を【図2】に色分けしました。当日は店舗が営業していない時間帯に測定しましたので、階段および通路、一部店舗の測定になりました。
 
 
【図2】ビル内での電波測定結果(au CDMA1X)
 
【地下への階段部分の現状】
階段A・B・C・D・E位置→発信着信も通話も問題なく良好
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクトはA→3本 B→3本 C→3本 D→3本
受信レベル値 −75.0〜−93.4dBm  
 
【地下フロアの通路での現状】
通路A・B・C位置→発信着信も通話も問題なく良好であった
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクトはA→3本 B→3本 C→3本
受信レベル値 −88.6〜−91.8dB
通路D位置→発信着信に15秒くらい時間がかかる時がある。
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクトは0〜1本
受信レベル値 −99.8dBm
発信、着信するために時間がかかる為、少しイライラ。
メールがなかなか送信できませんでした。
通路E位置→圏外表示になり携帯電話が使用できない。
接続率:発信0% 着信0%
アンテナピクト1本→圏外表示
受信レベル値 −99.4dBm
アンテナピクト1本だったものが圏外に。圏外表示になってしまうと発信もできなくなります。
店舗4内F位置→圏外表示になり携帯電話が使用できない。
受信レベル値 圏外(受信できず)
 
【アンテナ設置後の電波環境】
ビル周辺に基地局を見渡せる環境がなかったため、屋外用指向性アンテナを【図1】㈪の位置から基地局の方向に向けて設置し、屋内用アンテナをD位置に取り付けました。
屋外アンテナと屋内アンテナ間の同軸ケーブルの長さは45mでした。
 
地下フロア通路のE、および通路奥の店舗4の方向にアンテナを向け、電波を測りました。
 
【図3】アンテナ設置後の電波測定結果(au CDMA1X)
 
通路D位置(アンテナ直前) →メールも音声も発着がスムーズになった。
通話品質も問題なく良好
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクト表示:3本
品質:発信、着信するために時間がかかっていたのが、スムーズに発信ができるようになりました。
また音声も安定しているように感じました。
受信レベル値 −75.0dBm
 
●アンテナから1mのところ
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクト表示:3本
品質:良好で、スムーズな発信着信が可能でした。
受信レベル値 −81.0dBm
 
● アンテナから2mのところ(図3のEの位置)
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクト表示:3本
品質:圏外が良好になり、スムーズな発信着信が可能になりました。
受信レベル値 −85.0dBm
 
●アンテナから3mのところ
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクト表示:2本
品質:圏外が良好になり、スムーズな発信着信が可能になりました。
受信レベル値 −85.0dBm
 
●アンテナから4mところ(店舗4のF位置)
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクト表示:1本
品質:圏外が良好になり、スムーズな発信着信が可能になりました。
受信レベル値 −91.0dBm
 
今回、800MHz用のワイヤレス・リピート・アンテナでau(CDMA2000 1x)の実験を行い、FOMAやボーダフォン3Gの時と同様に効果を確認することができました。
 
実験では、屋外アンテナを設置した場所が基地局を見通せないところであったこと、同軸ケーブルを45mも敷設したためケーブルでの損失(7dB以上)があったことなどを考えれば、設置の条件さえ整えば10mぐらいは改善できるんじゃないかな…といった感触でした。
今回の実験で屋外用アンテナに改善点があったので、今この改良と試作をしています。
近々、完成の予定なので、また実験し、より良いものを完成させたいと思っています。
 
【auの受信レベルを測定した簡易インジケータ試作器】
 
FOMAやボーダフォン3Gでは、アンリツ製のML8720BというW−CDMA用の測定器を使用しました。今回の測定にあたって、auの電波を測るものをいろいろ調査しましたが、実験の目的に適した簡易な測定器が一般に流通していないため、au用の簡易インジケータを試作しました。
FOMA用に試作したインジケータのau版です。
 
 
【写真3】受信電波強度簡易インジケータ
 
使用方法
簡易インジケータをau携帯の外部接続端子に専用ケーブルで接続し、au携帯が受信する受信感度レベルを取得し簡易インジゲータに表示します。
 
測定範囲
受信感度レベル:−105dBm〜−75dBm(2dBステップ)
今回の測定では5回測定を行い、その平均値を使用しました。
 
測定した受信レベル値はFOMAやボーダフォンを測ったときのRSCP値に相当するものだと考えています。

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人は携帯電話の電波を遮るのか?

2005.11.04

前回、圏外でケータイが全く使えない場所がパッシブ・リピート・アンテナを付けることにより、
・ 屋内のアンテナから6〜7m先まで安定した通話ができるようになりました。
・ 少し途切れはあるが7m〜10m先までは、おおむね使えるようになりました。
・ 屋内アンテナの前で通話を開始し、13m先まで通話を保持できました。
・ 同時に複数の携帯が使えることも確認できました。(実験では4台)
・ 再放射した電波は強くはないが、かなりの距離まで良いEc/No値を保っていました。
 
しかしながら、実際に携帯電話が使われるのは実験した環境とは異なります。
たとえば、アンテナの前でじっと静止して通話するとは限りませんし、通話中にアンテナの前を他の人が横切ったりすることもあります。
このように、屋内アンテナから放射する電波を移動する人などが遮った時に、電波環境がどのように変化し、影響があるのかを実験してみました。
 
【測定機器】 アンリツML8720B  ボーダフォンV902T
 
◆実験1.屋内の指向性アンテナと携帯電話の間に人が立つとどうなる?
 
【図1】
(A)屋内アンテナの2m先で通話中に、(B)アンテナの前に㈪の人が立ち、通話している携帯㈰が㈪の影になるようにして実験をしました。
 
結果1.通話は問題なく可能だった。
人が遮ることで、アンテナから2mのところの電波強度が4mくらいの電波強度に落ちていましたRSCP値で4.4【dBm】低下。
 
RSCP −102.3【dBm】が−106.7【dBm】 
Ec/No6.7【dB】が−7.3【dB】
アンテナピクト1本→1本
 
そこで、アンテナから10m先(通話中の電波がギリギリの所)で人の影になってしまうと通話品質アラームが鳴り、音質の劣化が見られました。
しかし急に通話が切れたりするようなことはありませんでした。
 
◆実験2.アンテナに向かって通話した場合と、アンテナに背を向けて通話した場合電波の強さはどう変化するのでしょうか?
 

【図2】
アンテナのある方向に携帯電話を向けて、通話した場合のRSCP値の変化を記録しました。
 
結果2.携帯の通話では特に変化は感じられませんでした。RSCP値が9.0【dBm】低下し、アンテナから1mのところの値が、3mぐらいのところの電波強度に変化した。
RSCP −93.0【dBm】が−106.0【dBm】 
Ec/No5.0【dB】が−7.3【dB】
アンテナピクト 2本→1本
 
◆実験3.屋内アンテナの正面でなく、外れた位置は正面に比べてどれくらい電波の強さが変わるのでしょうか? 
 
 
【図3】屋内アンテナの向きより外れた位置で測定
 
アンテナ真正面1mの位置㈰ 逸れた位置㈪㈫にて測定した。
結果3.屋内アンテナは指向性アンテナですが、ほとんど違いは感じられませんでした。
RSCP −93.0【dBm】が−95.3【dBm】 
Ec/No −4.7【dB】が−5.0【dB】
アンテナピクト 3本→3本
 
屋内アンテナは指向性アンテナであるため、アンテナの向きから外れた位置だと電波が弱くなってしまうと思われていましたが、1m先の㈪㈫位置では途切れたり、切れるといったことがなく、通話に影響ありませんでした。
 
実験の結果により
アンテナから出る電波は、少なからず人の影響を受けることがわかりました。
効率のいいケータイ通話スポットを実現するには
・屋内アンテナの最適な再放射角(指向性)の設計
屋内アンテナの設置場所や取付け方法などを工夫する
ということが必要です。
 
屋内アンテナの取付けにも関連することですが、建築材のよる携帯電波の透過ロスに関する参考資料がありました。
 
【資料】
 
【図4】建築材透過損(出典:西尾、加冶:昭59信学光・電波全大、No35)
部屋の仕切りに使われる木板や、石膏ボードは影響が少ないですが、窓に使用されている熱遮断フィルムや壁面に内蔵される断熱用グラスウールは影響が大きいと思われます。
 
次回は、ビル地下のau編です。
FOMAやボーダフォン3Gを実験した同じ所で行いました。
auは800MHz帯の電波を使っていますが、「ケータイ・スポット・アンテナによる、改善のBefore−After」をレポートします。
 
 

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ボーダフォン3Gの電波感度改善テスト(その2)

2005.11.01

前回、ビル周辺とビル地下の現状の電波測定を行い、ビル地下B1フロアの通路では、ボーダフォン3Gは圏外になって全く使えませんでした。
【図1】
今回、パッシブ・リピート・アンテナでどのように改善されるか実験してみました。


【図1】設置環境 (基地局は幸いにも200mほど先に見通せる環境)
パッシブ・リピート・アンテナの屋外用指向性アンテナを基地局に向け設置【図1】
同軸ケーブル(35m)を使って地下通路B位置付近から屋内用アンテナで通路C、D、E位置の方向へ再放射しました。【図2】


【図2】アンテナ設置前の携帯電話の電波状態
 現状、通路A・B・C・D・Eは圏外になりボーダフォン3Gが使えない。


【図3】アンテナ設置後の携帯電話の電波状態

設置前は、地下通路すべての位置で圏外になり、携帯電話が全く使えない状態でした。Bの位置に、E方向(奥側)へ向け、再放射する指向性アンテナを設置してみました。【図3】

店舗が営業していない時間帯に測定しましたので、階段および、通路の測定になりました。

【テスト内容と結果】
使用した携帯:ボーダフォン3G V902T V802SH V802N V801SA 
測定機:アンリツW-CDMAエリアテスタ ML8720B
上記、機器を使用し実際の使用感(発着信成功率や通話品質)と測定値を記録しました。


【アンテナ設置後】
■アンテナから1mのところ
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクト表示:3本
品質:良好でスムーズに発信着信が可能であった。
RSCP:−91.3【dBm】 ←設置前−114.7【dBm】(圏外)
Ec/No:−5.0【dB】   ←設置前−12.7【dB】(圏外)

■アンテナから2mのところ 
接続率:発信80% 着信100%
アンテナピクト表示:1本
品質:音質も良好であった。
発信着信まで少しかかりはしたが(7〜10秒ぐらい)
特にイライラはしなかった。
発信できない時が1回あった。
RSCP:−94.0【dBm】 
Ec/No:−5.3【dB】  

■アンテナから3mのところ 
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクト表示:1本
品質:発信着信まで少しかかりはしたが(7〜10秒)
繋がると音質は良好であった。
RSCP:−98.0【dBm】 
Ec/No:−5.3【dB】  
■アンテナから4mのところ 
接続率:発信60% 着信100%
アンテナピクト表示:1本
品質:繋がると通話中は音質も良好であった。
発信後、発信先相手は着信鳴動するが、電話をとると話中音になり、
通話が成立しない時があった。
RSCP:−97.3【dBm】
Ec/No:−5.0【dB】

■アンテナから5mのところ 
接続率:発信100% 着信80%
アンテナピクト表示:0〜1本
品質:100%繋がった。スムーズに発信が可能で音質も良好であった。
着信しないときがあった。
RSCP:−104.0【dBm】
Ec/No:−6.7【dB】

■アンテナから6mのところ 
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクト表示:0〜1本
品質:発着信とも100%できた。時に軽い途切れもあったが切れてしまうことはなく、おおむね安定して使えた。
RSCP:−103.7【dBm】
Ec/No:−6.0【dB】

■アンテナから7mのところ
接続率:発信80% 着信80%
アンテナピクト表示:0本
品質:発信着信に少し時間がかかる(10秒くらい)が、通話の品質は問題なかった。
RSCP:−104.3【dBm】
Ec/No:−6.7【dB】

■アンテナから8mのところ
接続率:発信80% 着信80%
アンテナピクト表示:0本
品質:呼び出し音は鳴るが発着信できない時があった。
通話中に途切れることがあったが、通話は充分に可能だった。
RSCP:−108.0【dBm】
Ec/No:−7.0【dB】
■ アンテナから9mのところ
接続率:発信60% 着信80%
アンテナピクト表示:0本
品質:呼び出し音が鳴るが発着信できない時があった。通話中に途切れることがあったが、通話は維持できていた。
RSCP:−108.7【dBm】
Ec/No:−8.0【dB】

■ アンテナから10mのところ
接続率:発信80% 着信80%
アンテナピクト表示:0本
品質:呼び出し音が鳴るが発着信できない時があった。
通話中軽い途切れが出ることもあったが、通話できないほどではない。
RSCP:−107.3【dBm】
Ec/No:−8.0【dB】

■ アンテナから11mのところ
接続率:発信0% 着信0%
アンテナピクト表示:圏外
品質:圏外になり、発着信できなかった。
RSCP:−114.2【dBm】
Ec/No:−12.5【dB】


【写真1】使用した3G端末 
(左からV902T、V801SA、V802SH、V802N、V902T)


【写真2】○印B位置より奥へ電波を放射 



【図4】アンテナからの距離とRSCPEc/Noの変化

【テスト結果のまとめ】
1. 屋内アンテナから6〜7m先までクリアな安定通話が実現できました。
2. 時には、軽い途切れが出ることもありましたが、屋内アンテナから7〜10m先までは、おおむね使用可能になりました。
3. 屋内アンテナの前で通話を開始し、アンテナから通話しながら離れていくと、通路の一番奥(13m先)まで通話を保つ事が出来ました。
通話中に屋内アンテナの同軸ケーブルを外した瞬間に通話が切れてしまい、
パッシブ・リピート・アンテナからの再放射されている電波によって、通話できることを確認しました。
4. 屋内アンテナのもとで同時に4台のボーダフォン3G携帯で発信と着信を行ないました。
4台ともスムーズに発信着信ができ、音質も良好で全く問題ありませんでした。
(アンテナから3mあたりで実験)

5. 基地局が近く、見通せるということで屋外アンテナの設置環境は恵まれていましたが、屋内まで同軸ケーブルを35m引き伸ばしての実験であるため、ケーブルの減衰(約7.5dB)を考えれば、屋外環境の良さをある程度相殺した実験になったと思います。
6. 再放射後の電波は弱電でありながらもEc/Noの値が良い結果でした。ボーダフォン3GでもFOMAと同じ2000MHz帯の電波を使用しているため、同様のアンテナシステムで改善可能な事が実証できました。
今回のボーダフォン3Gの電波感度の改善テストは、おおよそ【図5】のような改善イメージになります。


【図5】RSCPEc/No値の相関図

今回の実験を現在開発中の2000MHz用のパッシブ・リピート・アンテナに生かして、さらにバージョンアップしたアンテナへ商品化させたいと考えています。
近々、プロトモデル完成の予定です。
次回は、室内アンテナから受信する電波を、人などが遮った時の電波環境の変化や、屋内アンテナの使用できる範囲についての、実験結果をリポートします。

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