電波感度をよくするケータイ・スポット・アンテナの開発Blog

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改良FOMAパッシブ・リピート・アンテナの実験

2005.12.27

こんにちは、電波太郎です。
今回は、改良したFOMAパッシブ・リピート・アンテナで、地下の圏外を解消する実験を行いました。【図1】
今回の改良は、屋外アンテナの受信感度の向上と、指向性の改良(干渉波対策)がテーマです。
 

【図1】パッシブ・リピート・アンテナを実験した環境(前回と同じ場所)
 
前回のアンテナでは、ビルの地下通路に設置した屋内用のアンテナから5m先まで使えるように、FOMAのエリアを改善できました。
<前回の実験はこちら→http://www.k-taispot.com/blog/2005/10/post_37.php
 
電波太郎:
今回作成したアンテナは四角い箱のようですね。
 
【写真1】試作したFOMA用平面アンテナ(屋外用)16dBi
本体サイズ 高さ440mm 幅225mm 奥行き85mm
 
【写真2】試作したFOMA用再放射アンテナ(屋内用)9dBi
本体サイズ 高さ106mm 幅116mm 奥行き27mm
開発担当:
屋外用のアンテナは、ビルの側面に設置するケースが多くなると思い、壁面から出っ張ったものにならないよう平面アンテナで設計しました。設置したときの外観、基地局方向の調整のしやすさ、受信性能などに重点を置き、改良しました。
 
電波太郎:
そうですね、八木アンテナやパラボラアンテナの形だと、建物から出っ張ってしまって景観がイマイチですね。平面だと違和感はないですね。
で、性能のほうはどうですか?
 
開発担当:
前回の実験では、コーナーリフレクターアンテナというパラボラアンテナに近い形のアンテナを使用しました。今回のアンテナは前回のものより受信感度が2dB高い16dBiの平面アンテナです。
アンテナの受信感度を上げ、指向性が狭くなったので、設置調整がシビアになるかと思いましたが、意外と簡単でした。
 
電波太郎:
受信感度も上がり、調整しやすくなってGOOD!GOOD!
ところで、指向性を狭くしたってどういうことですか?
 
開発担当
今回のアンテナは、基地局が見通せる場所(たとえば高層階)などで、遠くから飛んでくるほかの干渉電波を受けないようにするため、垂直方向の指向性を鋭く設計しました。また、水平方向の指向性の角度を前回のアンテナより多くとり、方向調整を行いやすくしました。
 
電波太郎:
肝心の携帯通話はどうなったのですか?
 
開発担当:
テストは基地局が見通せる場所に屋外アンテナ【写真1】を設置し、同軸ケーブルを35m引き伸ばして、屋内のアンテナ【写真2】で再放射しました。【図1】
テストの結果は、屋内のアンテナから7m先まで通話が可能になりました。
前回のアンテナより、2m伸ばすことができました。【図2】【図3】
また、前回は8m以上先(D、E地点)での通話は全く不可能だったのに比べ、今回は途切れはあったものの、通話は8mのところでも可能でした。
  
【図2】アンテナ改良前の効果
 
【図3】アンテナ改良後の効果
 
電波太郎:
前回より良い結果が出たってことですよね。
 
開発担当:
はい、そうです。体感出来るレベルで改善できていました。
ただし、今回は基地局を見通せる環境での実験です。基地局が見通せない環境で、どれだけ改善できるかも今後調べていかなければいけません。
 
電波太郎:
効果が良くなったことはわかりましたが、アンテナの形は?
なんか無骨に感じるのですが・・・。
 
開発担当:
あくまでも試作機なので、こんな色ですが、商品化の時には設置環境にフィットするような色合いにしていくつもりです。アンテナの軽量化も予定しています。
 
電波太郎:
待ち遠しいですね。いつですか?
 
開発担当:
準備して近々、発表します。

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タワーマンション超高層階でのFOMA電波感度の改善テスト

2005.11.29

前回まで48階の超高層階で、FOMAを実際に使用しながら電波測定を行い、高層階独特の電波状態を把握しました。
高層階では見通しが良いために、多くの基地局の電波が届いてしまい、電波が干渉したり、到来した電波が部屋の奥では弱くなるなど、電波環境が悪くなっていることがわかりました。
基地局は、地上で最適に通信できるよう、アンテナを下向きに設定してあるため、高層階では電波が弱くなっていました。【図1】
また、障害となる建物がないので遠方の基地局からの電波や反射した電波も届いていました。
 
【図1】超高層ビルの電波状態
 
【図2】改善イメージ
 
パッシブ・リピート・アンテナを使って、このような状態を改善するため
 
1. 高利得の指向性アンテナを最勢力の電波が来ている基地局に向けて、
   より強い電波として受信するようにする。【図2】
2. 室内のアンテナから再放射した電波レベルを他の干渉波よりも抜き立たせる。
3. 希望波を抜き出させることでEc/No値を向上させる【図3】
   以上のポイントで、どれだけ電波環境の改善ができるものかを、実験してみました。
 
 
【図3】希望波を抜き出すことにより、Ec/No値を向上
 
【テストの概要】
・基地局の見通せる48階の窓際に屋外用の指向性アンテナを設置。
・同軸ケーブルを使って再放射アンテナに接続。
・通路の奥へ向かって再放射。【図4】
 
・使用した携帯: FOMA N900iS P901iS 
・測定機:アンリツW−CDMAエリアテスタ
 
【図4】窓際にて指向性アンテナで受信、屋内へ再放射
 
【アンテナ設置】
アンテナを設置した窓際の電波環境は
RSCP −74.8dBm Ec/No −8.4dB でした。
 
アンテナを設置してFOMA端末にて確認しました。
通話の途切れや通話の不安定感の解消は2m程度までは体感できましたが、2mを超えてしまうと、通話が不安定になりました。
 
再放射アンテナからの希望波と他の干渉波とのEc/Noの差が少なくなり
結果としてアンテナの作用効果が弱まってしまう結果となっていました。【図5】
 
【図5】再放射した電波のEc/Noの変化イメージ
 
■アンテナのすぐそば 
接続率      :発信100% 着信100%
アンテナピクト  :3本
品質        :発着信がスムーズで通話の音質も安定していた。
RSCP:−73.8【dBm】 ←設置前−74.8【dBm】
Ec/No:−5.3(dB)   ←設置前−8.4(dB)
 
■アンテナから1mのところ 
接続率      :発信100% 着信100%
アンテナピクト  :3本
品質        :発着信がスムーズで通話の音質も安定していた。
RSCP:−75.1【dBm】 ←設置前−77.4【dBm】
Ec/No:−6.4【dB】   ←設置前−8.5【dB】
 
■アンテナから2mのところ 
接続率      :発信80% 着信100%
アンテナピクト  :1〜2本
品質        :発信着信まで7〜10秒ぐらいかかり通話もできるが
効果をハッキリ体感できているというほどではなかった。
RSCP:−77.2【dBm】 ←設置前−77.2【dBm】
Ec/No:−7.8【dB】   ←設置前−8.5【dB】
 
 
■まとめ
今回は試作アンテナを使った実験で、電波干渉が起こっている高層階で、屋内の再放射アンテナから2mまでのところまで効果を確認できましたが、それ以上では元々飛来してきている電波とアンテナからの再放射電波の差がなくなり、干渉障害の改善には至らないという結果になりました。
 
この実験の結果から様々なデータが入手できました。
高層階の干渉を解決するためには、
設計におけるアンテナ性能、機能の向上とともに「パッシブ・リピート・アンテナ」の“システム”としての対処が必要と捉えて現在、開発しております。
近々その試作が完成予定です。

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天候によるタワーマンション超高層階でのFOMAの電波状態の変化

2005.11.24

高層階での電波測定の2日目は雨、少し肌寒く外気温は12℃前後でした。加えて、霧がかかっていて2キロほど先までしか見通せませんでした。従って、初日と同じ場所で測定しているにもかかわらず、測定値が少し違っていることに気づきました。通話テストをしても快晴だった初日よりもこの日はなんとなく電波の調子が良いような感じでした。【写真1】
 
【写真1】雨の日の景観
 
今回も、電波の干渉や建物内部への電波の到達具合などの測定調査を、FOMAの実際の使用感とともに実施しました。【図1】
 
【図1】高層ビル内の環境
 
【測定機による測定の結果】
アンリツ製W−CDMAエリアテスタML8720Bを使用し測定を行いました。
定点を決め、アンテナを垂直にした状態で測定しました。【写真2】
 
【写真2】エリアテスタでの測定
 
【雨の日、電波が良くなったところ】
場所:①位置
快晴だった初日は、この場所はFOMAの発信はできるけれども、着信がしにくい状態でした。
雨模様のこの日は着信も正常できていました。希望波受信電力(RSCP)は晴天のとき(b)に比べ雨天のとき(a)の方が悪くなってはいますが、他の電波(干渉波)を受信していないためか、Ec/Noは変化していませんでした。また初日と比べて電波(希望波)の変動幅が比較的小さくて安定しているように感じました。
 
【表1】窓際①位置での測定値
 
場所:③位置
この場所は晴天のときは弱い電波が互いに干渉し、5回のうち2回しかつながらなかったところです。測定上では初日と同じように干渉はしていますが、着信はほぼできる状態でした。10秒以上かかっていた接続も、10秒以内でつながりました。初日は通話中の音の途切れや品質アラームが鳴ることもありましたが、この日は少し良くなり通話は普通にできました。
雨の日のほうが良い使用感となりました。
 
【表2】③位置での測定値
 
【雨の日、電波が悪くなったところ】
場所:②位置
快晴のときにはこのあたりまでは「繋がってしまえば安定するぞ!」といった場所だったのですが、雨の日では通話が途切れたり発信に時間がかかったりしました。希望波のRSCPが低下しそれに伴いEc/Noも悪くなっていました。つまり、電波の品質(RSCPEc/No)が悪くなっていたのです。
 
【表3】②位置での測定値
 
【まとめ】
今回、快晴と雨の日にテストを行い、天候により電波環境が微妙に違うことが分かりました。
一般的に周波数の高い電波は大気中を伝わるとき、雨、雪、霧などに含まれる大気中の水分によって吸収・散乱され減衰するといわれています。2000MHz(2GHz)の周波数を使っているFOMAの電波も、天候や気温によって状態が微妙に変化していることが今回の実験で改めてわかりました。
 
1日目(晴天):
・ 大気が乾燥し降雨減衰の影響がなく遠い基地局からの電波が届いていた。
・ 電波が良く飛んでおり干渉波も多く飛来していた。
 
2日目(雨天):
・ 降雨減衰によって、遠方の基地局から飛んでくる電波が減衰し弱くなって届くので、携帯電話がそのような電波を干渉波としてキャッチすることがなくなり、環境としてはかえって良くなった。
・①の位置のように干渉波の受信・レベルが低くなった結果、希望波を受信しやすくなって通話が安定したと考えられます。
・ 逆にもともと電波が飛んできにくい弱電界の場所では雨の日などでは受信レベルが全体的に低くなるので、さらに使えなくなってしまうかもしれない。
 
タワーマンションでは部屋や場所にによって、使えないようなこともあるかと思います。
いつもは使える場所でも天候などにより電波環境が変化して使えなくなってしまうようなことがあるかも知れないですね。高層マンションにお住まいでこのような体験をされている方でこのような体験をされた方はおられませんか?
天候によって部屋の中で電波を追いかける生活は不便ですよね。
 
「ケータイが使えないタワーマンションでストレスなく携帯が使えるようにしたい」と
今回のテストで改めて感じました。
 
次回は、超高層階でのアンテナ実験の結果と課題をまとめてみます。
 
(追記)
私の家では「このようなときに携帯が使えなくなる」「雨の日などに携帯が繋がりにくくなった、繋がりやすくなった…」「こんな事をしたら使えるようになった」といったさまざま体験のコメントなどいただければありがたいです。

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超高層階の電波干渉と建物内部への電波浸透

2005.11.21

大阪市内の地上200mを超えるタワービルの48階で実験を行いました。
高層マンションや高層ビルで、ケータイの発着信ができない、メールが使えない、通話中に音が途切れたり切れてしまったりする、というような電波障害をよく聞きます。高層階では見通しが良いために、多くの基地局の電波が届いてしまったり、部屋の奥では到来した電波が弱くなっていたりして電波環境が悪くなってしまうためです。
今回、FOMAを使い電波の干渉や建物内部への電波の到達具合などの調査とFOMAの実際の使用感を調査しました。【図1】
調査初日は快晴。少し霞がかかっていましたが、10キロほど先まで見通せる天候でした。
 
【図1】高層階での携帯電話の電波
 
【図2】今回測定した超高層ビルの環境
このビルの48階の実験場所では、窓際から数メートル奥へ入るとFOMAの電波状態が悪くなっていました。
 
【図3】高層ビル内の環境
 
【写真1】FOMA端末 P901iS N900iS  【写真2】アンリツML8720B
 
【測定機による測定結果】
アンリツ製W−CDMAエリアテスタML8720Bを使用し測定を行いました。
【干渉パターン1=干渉】場所:①位置
 
窓際ではFOMAはスムーズに発信ができ、音質も良好でありましたが、
アンテナピクトが「3本」であるにもかかわらず、時々着信しないことがありました。
5回中2回失敗)
希望波の値は正常だが、キャッチする電波が大きく変動して安定しなかった。
Ec/No-8.2→-14.2)
【表1】(a)電波が良い状態(RSCPEc/Noも良い)
(b)電波が悪い状態(RSCPは悪くはないがEc/Noが悪化)
RSCP −73.8〜−89.0 dBm  Ec/No8.2〜−14.2dB
アンテナピクト 2〜3本
(a)電波が良い                   (b)電波が悪い
測定値【表1】
 
【干渉パターン2=弱電干渉】場所:②③位置
 
FOMAでの発信は問題なくできましたが、着信は5回のうち2回しかつながりませんでした。
また、高層階の携帯電話へ着信させた場合、接続までに10秒以上かかっていました。
繋がれば概ね通話は維持できましたが、通話中の音の途切れが気になり品質アラームが鳴る事もありました。
測定では、干渉波によるEc/Noが悪化していました。
(希望波以外に6つの干渉波が見られました。)
RSCP −89.3−92.2dBm  Ec/No12.8〜−16.5dB 
アンテナピクト 1本
【表2】弱電干渉のFOMA電波測定値
 
【干渉パターン3=弱電干渉】場所:④⑤位置
弱い電波がたくさん届いていますが、突出して状態のいい電波がないので通信状態が
不安定になり、時にはFOMAが圏外にもなります。
 
発信、着信を行ったが繋がるまでに10秒以上かかります。
着信し通話が始まってもすぐに通話中の途切れが起こり、通話が切断されることもありました。
また切れたあとに携帯が圏外表示になることもありました。
携帯の着信音は鳴っていますが、発信した側では話中の音が鳴りつながらないこともありました。
RSCP −92.3〜−98.1dBm  Ec/No12.9〜−16.2dB
アンテナピクト 圏外〜1本
 
【表3】弱電干渉のFOMA電波測定値
 
【まとめ】
今回の調査で高層マンションや高層ビルでの携帯電話の電波干渉の多くのパターンのうち、3つを知ることができました。【図4】
 
1. パターン1=通話する希望波の受信電力(RSCP)は比較的良いが、電波の変動の幅が大きいために回線の品質が悪くなり、急に使えなくなったりする。
                    
2. パターン2=希望波受信電力(RSCP)が弱く、多くの電波が干渉して安定しない。
希望波は他の電波より少しは良いが、場所を少し動いただけでも
         変動が大きく安定しない。
3. パターン3=希望波受信電力(RSCP)が弱く、Ec/Noもよくない。
多くの電波は飛んできているが突出した良い電波がない状態
 
【図4】RSCPEc/No値の相関図
   
高層階で携帯電話が使えない原因は、ワンパターンじゃないようですね。
その部屋と基地局とのロケーションだけでなく、届いている電波の数や電波が来る方向、
電波の強さなどが様々に影響し合っているようです。
部屋が変わっても違う環境になることはもちろんですが、同じ部屋でも場所を変えたりしても電波環境が大きく変化します。
 
このことは、その場所の障害原因の解決に適したアンテナでないと改善の効果が期待できないということですね。
改善したい現状の環境をまずしっかり掴んでからアンテナを選ぶことが大事ですよね。
このあたりも今後まとめていこうと思います。
 
さて
一般的に、周波数の高い電波はその日の天候や気温によって届き方に違いがあるといわれますが、2000MHz(2GHz)帯のFOMAの電波はどうなのでしょう?
見通しが良い高層マンションや高層ビルでは快晴の日と雨の日では違うのかな?
初日は快晴でしたが2日目は雨の日でした。
次回はその違いなどをまとめてみようと思います。

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FOMAの電波を調べにタワービルに

2005.11.14

都市圏ではタワービルや超高層マンションがどんどん立ち上がっています。
“超高層“とは、建築業界や不動産業界では一般的に20階以上を呼んでいるようですが、
首都圏や阪神地区では、最近は50階以上でも珍しくなくなってきました。
生活もビジネスの場も上に上に伸びていってます。
 
そこで、大阪市内にあるタワービルの48階でFOMAの電波の現状調査とアンテナ実験を2日間行ってきました。
 
高層ビルでは、多くの基地局の電波が到来してしまうため、ビル地下などと全く違って「圏外」でもないのに携帯電話が使えないといった現象をよく聞きます。
今回の高層階でも「発信や着信ができない」、「メールの送信がいつまで経ってもできない」、といった高層マンションや高層ビル特有のトラブルが頻発しました。
 
1日目は景色がかすんでいましたが、快晴でした。2日目は肌寒い小雨の降る日でした。快晴と雨の日で高層マンションや高層ビルではFOMAの電波の届き具合が違うのかも実験し、測定できました。
超高層階などでは天候の状態により電波干渉も少し違いそうなこと、使用感も少し違いそうなことも確認できました。【図1】
また後日、その時の電波状態などをレポートします。
今回実験をした48階の環境は【図1】のようなイメージです。

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