電波感度をよくするケータイ・スポット・アンテナの開発Blog

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山間地での緊急時の通信を補助するアンテナ

2006.05.01

前回、山岳、山間地での遭難事故や緊急事態が、以外にも気軽に出かけられるような近隣の山間で起こっていることをお伝えしました(平成16年中における山岳遭難の概況/警察庁生活安全局地域課)。また、緊急時に連絡がとれたうちの96%が携帯電話で、無線が4%でした。一方、通信手段が確保できなかったケースは61%もありました。
携帯電話は万が一の時の連絡手段としてはとても有効ですが、多くの山間地では通話エリアが限られていることから、通信の確保を少しでも補助するツールがあれば便利ですね!
 
本格的な登山をする方は、無線機を持って出かけます。
また、山菜狩りやハイキングのように、野山へ気軽に出かけるときはやはり携帯電話です。
実際、山菜狩りやハイキングで起っている道迷いの通報は、携帯電話からが多いそうです。
でも、そのような場合、道に迷ってしまった時に、電波が弱くて携帯が使えず大事にいたることも十分考えられますよね。
 
電波太郎:
新緑がきれいなこの季節、山に行くと山菜狩りに熱中している方を良く見かけますね。
でも、木々や雑草が生長してハイキングコースなのか獣道なのかわからないこともあり、夢中に徘徊しているうちに道に迷ってしまうんでしょうね。
そうしたなか、最近の携帯は現在地を表示する機能がついたものも多くなってきているので、携帯が山の中で使えるとすごく安心できますよね。
 
開発担当:
携帯電話の現在地を表示する機能が使えれば、すごく助かりますね。
でも、それを使うにも携帯電話の基地局の電波が届いていないとね…。
少し前までは携帯電話が使えなかったような山の中の集落でも、最近は小規模な基地局が増えていますね。【写真1】
 
【写真1】山の中にある小規模基地局のアンテナ
 
電波太郎:
山での弱い携帯電話を使えるようにするアンテナって無いですよね。
もしアンテナで電波を受信できれば、現在地の表示機能だけでなく、ケガをしたり、道に迷ってしまった時の連絡手段として使えますね。
 
電波太郎:
小さくて軽いアンテナなら便利でいいね!
 
開発担当:
山の中は沢や尾根などの地形や起伏によって、飛んでくる電波の強さや方向も変化します。
携帯電話だけでは感度が不足するような場所では、指向性と利得を確保して通信を補助するようなアンテナが役立ちますね。
 
電波太郎:
といっても、携帯電話用のアンテナの利得は法律で規定されている以上、個人で使うのは、難しいんですよね。
やっぱり、電波が微弱なところは少し条件的に厳しいかと・・・。
 
開発担当:
もちろん、電波が飛んできていない所ではそもそも電波を受信することはできません。
また飛んできていても、限りなく微弱なところも難しいです。
でも、山の中は地形、起伏、空間の変化によって微妙に電界レベルが変化しているところも
あるので、通信の補助的ツールとしては有効かと…。
後、法規制でいうと、無線設備規則では受信電力が3デシベル(約2倍)以上になってはいけないよね。
 
電波太郎:
なぜなのですか?
 
開発担当:
指向性アンテナによって特定の基地局方向への感度を規定以上に強くしてしまうと、通信している基地局以外にも悪影響を及ぼす恐れがあるからです。
 
電波太郎:
山の中って基地局も見えず飛んでくる電波も極端に弱いですが、そんなところでもき基地局に影響があるのですか…?
 
開発担当:
もちろんだよ。そのようなところでの非常の携帯通信を補助する場合であっても、法律上では例外ではないよ。
 
電波太郎:
指向性アンテナを固定して使うことで受信電波を安定させ、通信をどこまで確保できるか
色々試験していきます。
 
開発担当:
持ち運びできる携帯性に優れた寸法や重量、法制度、価格などいろいろ制約があるけど、“もしも”という時に通信を補助できればいいね。
 

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外部アンテナによる山間での携帯電話の通話改善

2006.04.19

こんにちは、電波太郎です。
前回は、山間部の圏外スレスレのスポットでの通話実験を行い、アンテナの利得によって携帯電話が使えることが確認できました。
レジャーの場では、携帯電話の通信がそれほど必要ないと思っていらっしゃる方もあるかと思いますが、実は、山間での緊急連絡などでは携帯電話が使えるか使えないかが命にかかわることが多いようです。
 
「平成16年中における山岳遭難の概況」(警察庁生活安全局地域課)によると
平成16年中における山岳遭難は、
○ 発生件数1,321件
○ 遭難者数1,609人
○ 死者・行方不明者267人 で
発生件数、遭難者ともに、警察庁で統計を取り始めた昭和36年以降、過去最高を記録した平成15年よりは減少したものの、発生件数は平成10年以降連続して1,000件を超えています。
 
また、山岳遭難を目的別に見ると1,609人中、ほとんどが登山、山菜狩りで発生しています。登山目的(「ハイキング、スキー登山、沢登り、岩登り」を含む)の遭難者が全体の67%(1,074人)と最も多く、次いで山菜採り・茸採りの26%(415人)となっています。
 
電波太郎:
山岳地での緊急連絡手段としては、携帯電話がすぐ思いつくけど、山の中では
電波が届かないんじゃないんですか?
 
開発担当:
いいえ、意外と携帯電話が通信手段になっているようです。
でも、立地的な制約から非常に不安定な通信手段になってしまいます。
これも警察庁の資料にありましたので紹介してみます。
 
【表1】遭難時の通信手段
(抜粋:平成16年度中における山岳遭難の概況/警察庁生活安全局地域課)
携帯電話が通信手段になったのは、全体の約37パーセントです。
圏外のために携帯電話が繋がらず、通信手段がない状態に陥ってしまうことも十分考えられます。
 
電波太郎:
登山、ハイキング、山菜狩りとすごく身近なところで、意外にも多くの事故が発生しているようですね。山間などに出かける機会が多くなる5月〜10月の6ケ月間で年間の70%近くの遭難が発生しているそうです。
 
開発担当:
遭難の原因としては「道迷い」が最も多く、全体の34%を占めています。
その際の救助要請には、携帯の普及に伴い、誰もが持っている携帯電話によるものが増えてきているようです。
でも、通話エリア内であれば万が一の時の連絡手段としては有効ですが、山間地や山岳では通話できるエリアが限られているのが現状です。
 
電波太郎:
GPS機能がついている携帯電話もあるから、道に迷わないんじゃないの?
 
開発担当:
確かに、携帯電話のなかには、GPS機能がついているものもありますね。
携帯電話付属のGPSは基地局とのデータのやりとりが必要で、電波がきていて
安定通話できるところだと使えますが、「圏外」や電波が不安定なところでは使用できません。
 
電波太郎:
道に迷ったときに携帯が使えるのと使えないとでは全然違いますよね、
アンテナによって使えるようにできたら最高なのにな!
 
開発担当:
そこで、通話エリア外の場所で外部アンテナを使ったらどの程度ケータイが使えるように
なるものなのか?
山間部の公園(通話エリア外)でFOMAとauの携帯電話で実験してきました。
 
1) 携帯電話単体での通話
2) 携帯電話に指向性アンテナを接続した時の通話
3)携帯電話に(2)で使用したものより高感度(高利得)のアンテナ
 
【図1】実験で使用したアンテナ性能イメージ
図1より(1)携帯電話単体ではすべての方向から電波が到来しても受信できるようなアンテナが使われている。(2)の指向性アンテナはアンテナの向けた方向に対して受信する力をもたせたアンテナです。(3)は(2)のアンテナの指向性を鋭くして感度を向上したものです。
 
【写真1】山間部に位置するとある公園
まず、現在、ドコモの通話エリアマップではFOMAが圏外となっている山間部の公園で
試してみました。【写真1】
携帯電話単体では、通常は「圏外」もしくはアンテナマークのみで発信も着信もできません。
受信レベル値(RSCP※)は-113dB。
 
■ 携帯電話単体
発信:圏外になる 
着信:圏外アナウンスが流れる
アンテナピクト表示:0本
品質:発着信不能であった。ダイヤル発信後すぐに圏外の表示になってしまう。
受信レベル値(RSCP) −113dBm
 
■ 外部アンテナを接続(指向性タイプ)

発信:時間がかかる。スポットによっては、まったくつながらない。
着信:圏外アナウンスが流れる
アンテナピクト表示:1〜2本
品質:発信動作はできるものの、時間がかかり繋がらない。話中音になってしまう。
受信レベル値(RSCP) −110dBm
 
■ 外部アンテナを接続(高感度指向性タイプ)
発信:スムーズに接続
着信:問題なし
アンテナピクト表示:3本
品質:アンテナの向きを簡易インジケータであわせるとアンテナピクト表示が「3本」に
なり安定した通話が可能になった。
受信レベル値(RSCP) −100dBm
 
この場所は、電波が弱く公式には通話エリア外のところでしたが、電波が到来する
方向に高感度指向性アンテナを向け携帯電話とケーブル接続でする事で通話できる
ようになりました。
アンテナの受信感度(利得)によってケータイの圏外を解決できました。
 
RSCP  (希望波受信電力)Received Signal Code Power 
基地局からの受信電力の値で端末は一番強い受信電力の基地局(以下最勢力局と呼ぶ)と通信します。その時に携帯電話が受け取る受信電力の値
 
【写真2】近郊山間の山頂付近 
次に、auのサービスエリアマップで通話エリア外となっている近郊の山間の山頂付近で実験を行いました。山頂付近では、携帯電話はアンテナマークのみの「0本」で時々「圏外」表示になります。発信してもなかなかつながらず、事実上、まったく使えないところでした。
 
■ 携帯電話単体
発信:圏外の為繋がらない。 
着信:圏外アナウンス
アンテナピクト表示:0本
品質:発着信不能であった。ダイヤル発信はするが、すぐに圏外の表示になってしまう。
メールも送受信できなかった。
 
■ 外部アンテナを接続(指向性タイプ)
発信:繋がらない。
ダイヤル発信動作はするがすぐに圏表示になる。
着信:圏外ガイダンス
アンテナピクト表示:1〜2本
品質:発信動作はできるものの時間がかかり、話中音になってしまう。
 
■ 外部アンテナを接続(高感度指向性タイプ)
発信:スムーズに発信でき繋がった。
着信:問題なくすぐ着信できた。
アンテナピクト表示:2本
品質:安定通話が可能になった。
しかし電波到来方向にしっかりアンテナを向けないと
すぐに受信状態が悪くなった。
 
電波太郎:
今回は携帯電話単体、指向性アンテナ、高感度指向性アンテナの3種類で実験をしましたが、高感度指向性アンテナで効果が確認できたましたね。
一般的に、高感度指向性アンテナはサイズが大きくなり、持ち運びを考えると小型で携帯性の高いことが、重要ですね。この点では今回、効果が確認できた高感度のアンテナはまだまだ改善しなくてはいけない点がたくさんありますね。
 
開発担当:
通話エリア外で通信手段を確保することができる“携帯性に優れたもの”ができれば良いなと思っています。
皆さまの体験談やご意見など、お寄せください。
開発の参考にさせていただきます。

 
NTTドコモ通話エリアホームページ
KDDI(au)通話エリアホームページ
Vodafone通話エリアホームページ

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山や海でケータイを使えるようにしたい!

2006.04.12

こんにちは、電波太郎です。
暖かい季節になり、山や川、海など行楽することが多くなってきました。
私は、自然の中でバーベキューをするのが大好きです。
山岳地などをグループで行動していると連絡がつきものですが、携帯電話を取り出しては「圏外」ではないか確認をする人も多いのではないでしょうか?
 
【写真1】ケータイが繋がりにくい山岳地や海岸
 
今回は、圏外スレスレで普通では携帯が安定して使えないような電波状態の山岳地や山間部で「パッシブ・アンテナ」をテストしてみました。
 
指向性アンテナとケータイをケーブルで接続して、受信電波の状態をどの程度改善できるか、テストした。
 
【測定環境】
携帯電話のアンテナマークが「1本」もしくは「0本」の屋外環境
【測定機器】
アンリツ エリアテスタ ML8720B
【携帯電話】
NTTドコモ N900iS (FOMA)
 
電波太郎:
テストした場所は、携帯電話のアンテナマークが「0本(アンテナマークのみの状態)」です。
発信してもつながるまでに時間がかかったり、時には「圏外」になってしまったりします。
また、つながっても、通話中に通話アラームが鳴り続けて通話が切れてしまいます。
 
開発担当:
電話を着信させようとしても「圏外アナウンス」で繋がりませんね。
測定機で測ると希望波の受信電力(RSCP)が105dBです。
 
電波太郎:
では、試作アンテナを接続してみます。【写真2】
平面アンテナにFOMA  N900iSをケーブルで直接つないだところ、アンテナピクトが「0本」から「2本」になりました。FOMA 画面のアンテナピクトが常時「3本」になる方向(電波到来方向)を見つけました。よし!この方向!
そこで発信すると拍子抜けするほどスムーズに相手につながりました。
通話中、音も途切れることなくクリアな状態でした。
このときに測定機で測ると希望波の受信電力(RSCP)が95.1dBでした。
 
【写真2】1素子平面アンテナ (FOMA、Vodafone3G)
 
開発担当:
アンテナの性能が発揮できていますね。5mくらいの同軸ケーブルで繋いでいる割には
しっかり性能が出ましたね。
 
電波太郎:
アンテナを向ける方向によっては、アンテナピクトの本数が減って、通話中に音の途切れなどが出ましたが、すぐに良い方向がわかりましたよ。もっと受信利得のよいアンテナを使うと
もっと電波の弱いところでも使えるようになったりするかも…。
まったく電波が届いていないような圏外のところでは受信はできませんが、少しの電波が届いてさえいれば、アンテナの性能で使えるようになったりするんじゃないのかな…?
 
開発担当:
そうですね。まったく電波が届いていないところではダメですが、少しでも届いているところだと、望みはありますね。
今回テストしたところは、都市部とは違って電波の回折や干渉波の影響があまりない環境だったので、指向性アンテナの利得の性能をストレートに確認することができました。
電波が圏外スレスレの電波状態なら、アンテナの利得によって携帯電話が使えるようになることが実験により、はっきりわかりました。
携帯電話がつながりにくい、使えない山岳地や野山などで確実に携帯電話が使えるように
なれば、登山家やハイカーにとってもとても便利と思います。
 
電波太郎:
こんなアンテナがあれば、グループのメンバーとはぐれた時や緊急のときにも連絡ができるし、アウトドアでの連絡も便利になりますね。
 
開発担当
「電波は僅かながら届いているけれど、携帯電話が使えない」というようなアウトドアのこのような問題を解決できるアンテナの商品化も考えています。
皆さんのご意見いただければうれしいです。

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高層階でケータイが繋がらない問題(Vodafone3G)

2006.02.22

こんにちは電波太郎です。
前回、タワービルの高層階でFOMA用の指向性アンテナの実験を行いました。
 
テストを行った高層階では、アンテナマークが「3本」であるにもかかわらず、通話中に音が途切れたり、通話が突然切れたりしていました。また、かかってきたときには「圏外」でもないのに、かけてきた相手に「圏外」アナウンスが流れるといった電波障害が起こっていました。
しかし、FOMA用に試作した指向性アンテナによって、この障害は解決しました。
 
そして、今回はVodafone3G携帯 (V802SH)を使って指向性アンテナの効果を検証を行いました。
実験を行ったところは、前回と同じタワービルの44階です。
 
少し、前回のおさらいをしますと一般的には
・携帯電話は、最も近くにある基地局(電波が強い基地局)と通信します。
・タワービルやタワーマンションなどでは、見通しが良いため、少し離れた別の基地局からの電波も飛んできて、干渉波として受信してしまう。【図1】
 
【図1】高層階での携帯電話の電波
 
今回の実験では、Vodafone3Gの2000MHz帯の携帯電話を使用しました。
 
そして、前回のFOMAのときと同じく、携帯電話の発着信と測定機による測定をしました。
 
【使用携帯】
Vodafone3G携帯 V802SH
【写真1】Vodafone3G携帯 V802SH
 
【使用測定機】
アンリツエリアテスタ ML8720B
【図2】タワービル44階見取図
 
電波太郎:
44階の窓際から20mほど中に入ったところで発着信のテストをしました。【図2】
まずは、携帯電話単体で発信してみました。携帯電話を持って少し動いただけでも、発信できたりできなかったりして、かなり使いづらい感じです。また、“ネットワーク検索中”と表示され、発着信が一時的に完全不能になることもありました。ここは、ほとんど使えない場所です。
 
【写真2】タワービル44階
 
開発担当:
測定機で測定した値で説明しましょう。
テストしたところの現状は【表1A】ですね。
希望波(赤字)は携帯電話が通信しようとする電波の値です。
干渉波は希望波以外の電波を示します。
干渉波の受信レベル(RSCP※)が希望波の受信レベルよりも低くて、かつ干渉波の数が少ないほうが電波の質(Ec/No※)が良くなります。
この場所では、希望波を含めて6つの電波がRSCP値で-103dBmから-110dBmまでのレベルで飛んできていています。そのため、希望波のEc/Noが−15dB以下と非常に悪くなっています。
 
【表1】窓際から20m入った通路での電波環境
 
RSCPはその時に携帯電話が受け取る受信電力の値で、通常は−90dBm以上あれば良好とされています。
Ec/Noは最勢力局のRSCPと全受信電力の比を表す電波の質を表現しています。値は高いほど良く−10dB以上あれば良好です。逆に−12dBから−13dBより値が下がった場合には、途切れたり通話が出来なくなるといったことになります。
 
RSCPEc/Noの詳しい説明は関連用語集のページを参照お願いします。
 
電波太郎:
アンテナピクトは「2本」表示しているんだけど、電話が発信できなかったり、着信出来なかったり・・・いっそうのこと「圏外」表示だと諦められるけどね。
とてもストレスを感じました。
 
開発担当:
そうそう、タワービルなどの高層階では、電波が受信できるので「圏外」の表示にはなりませんね。発信しようとしてつながらなかった場合に一時的に「圏外」の表示になることはありますが・・。
その場所の状況をもう少し詳しく教えてください。
 
電波太郎:
発信したとき、呼び出し音が聞こえるまでに20秒近く時間がかかることがありました。
発信相手が話中でないにもかかわらず、「話中」の音になりました。
着信に関しては、「圏外」でないにもかかわらず、かけてきた人に対して「圏外」アナウンスが流れてしまいました。また、「通話中に音声が途切れたり」、「無音になったり」、「相手の声は聞こえるが、自分の声は相手に届かない」、または「その逆の現象(片通話)」や、「音が途切れだして数秒後に通話が切れてしまう」という状況でした。
 
【写真3】V802SHのアンテナピクトは最大4本
 
開発担当:
それは、干渉が原因の症状です。
干渉しているという状態では、指向性アンテナが効果を発揮します。
次に、指向性アンテナを接続してみよう。
 
電波太郎:
V802SHに試作した指向性アンテナを接続しました。【写真4】
受信状態が良くなるアンテナの方向をゆっくり探しアンテナピクトが「2本」から「4本」になりました。【写真3】
発信、着信ともにスムーズになりました。接続後の通話音声も安定しました。
アンテナの方向調整はゆっくりと、電波が飛んできている方向をサーチライトで探すように慎重に通話の音質を確認しながら行いました。
それから、再度発信をしてみました。すると、発信時もすぐにつながりました。
つながった後の音声も、途切れることなく安定しています。
他の電話からかけてみましたが、「圏外」アナンスも流れることなくスムーズにつながりました。
指向性アンテナによって干渉による障害が解決できたようです。
 
開発担当:
測定機を接続して値を測定してみました。
指向性アンテナを接続することにより、5波あった干渉波が1波に減っています。
これはアンテナの指向性によって、アンテナの指向方向以外にある干渉波がカットされたと考えられますね。【表1】
また、干渉波を受信しなくなったため、希望波の質(Ec/No値)がアンテナが無い時は−15.6dBだったのが−10.5dBになりました。希望波受信電力も指向性アンテナの効果によって−83.8dBmに向上しています。【表1B】
 
【写真4】試作した指向性アンテナ
 
電波太郎:
【表1】の値はあくまでも指向性アンテナのコネクタ端の値です。
携帯電話につながったところの値ではありません。
携帯電話に直接アンテナを接続する場合の条件は、法(無線設備規則)によって決められています。
今回の実験も当然のことながら、それに準拠して試作し実験しています。
 

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高層階でケータイが繋がらない問題を解決

2006.02.15

こんにちは、電波太郎です。
私たちのブログに「マンションに住んでいるが、ケータイが繋がらなくて困っています」
「家で携帯電話が使えなくて閉口しています」といったご相談がよく寄せられてきます。以前このブログでも、タワーマンションの現状パッシブ・リピート・アンテナでの改善テストを行ってきました。
 
【図1】高層階での携帯電話の電波
 
アンテナマークが「3本」であるにもかかわらず、通話の音が途切れるなど音が悪かったり、突然通話が切れたり、呼出しをしても圏外アナウンスが流れるといった症状になっています。なぜ、「高層階で携帯電話が使えない」というような現象が起こるのでしょうか?
それは、携帯電話は最も近くにある基地局(電波が強い基地局)と通信します。しかしながら、タワービルやタワーマンションなどでは見通しが良いため、少し離れた別の基地局からの電波も飛んできて「干渉波」として受信してしまうからなんですね。【図1】そこで、通信しようとする基地局の電波(希望波)だけを受信する指向性アンテナを試作し、実験をしてきました。
 
【図2】実験を行ったビル周辺のイメージ
実験を行ったところは高層の建物が建ち並ぶところで、このビルの44階の窓からは複数の基地局が見通せる環境でした。【図2】
 
【図3】実験を行った高層フロア(44階)
 
44階の高層フロアで携帯電話の発着信をしました。
【使用携帯】
NTTドコモ FOMA P901iS,N900iS
 
電波太郎(44階):
まずは、44階の窓際から1階に待機している相手に発信のテストをしてみました。
アンテナピクトは「1本」です。
pupupupu・・・」。つながるまでに10秒以上かかりますね。長い。しかも、つながってからは、音が良くないというか今にも切れそうなつながり方です。
 
開発担当(1階):
確かに、切れそうだし音が途切れて話にくいね。
じゃあ、次はこちらからかけてみるね。
1階から44階の電波太郎にかけてみました)
pupupupu・・・」。 「おかけになった電話は電波の届かないところに…」
(もう一回発信します)
pupupupu・・・」。こんどは、話中の音になりました。
 
44階の窓際では、少し時間はかかるけどつながりました。でも、音は良くありません。
逆に着信の場合は、かけてきた相手に「圏外」アナウンスが流れてつながりません。何度かかけ直してやっとつながりましたが、つながっても、すぐ通話が切れてしまいます。
 
次に
窓際から20mほど建物の奥に入ったところで、発信テストをしました。
アンテナピクトは「1本」です。  【図3】電波太郎君のいる所  
この場所での発信は、何度か繰り返すせばつながりますが、着信の場合は、まったくつながりません。
Webやメールは送信、受信とも使えませんでした。
圏外なら諦めもつくのですが、アンテナピクトが立っている状態なので、かなりのストレスです。
なんとも歯がゆい気分になりました。
 
どうやらここは電波が干渉している場所のようです。
これと似たような症状での相談がこのBlogに多く寄せていただいています。
 
次に市販されている無指向性アンテナを試してみました。
 
【写真1】ドコモ純正室内用アンテナ
 
電波太郎:
最初に窓際のガラスにペタッとドコモ純正室内用アンテナを貼り付けてみました。【写真1】
アンテナピクトは1本で変化はしませんでしたが、発信するとスムーズにつながりました。通話中は時々途切れはありましたが、アンテナがないときに比べると、アンテナが固定されているためでしょうか、通話が安定しているように感じました。
断然、こちらの方が通話の声が聞き取りやすかったです。
次に、窓際から20mほど建物の奥に入ったところで、室内アンテナを使用しました。
アンテナピクトは「1本」で、発着信、メールとも使えません。
この場所はもともと電波があまり届いていないのか、無指向性アンテナを使っても症状はあまり変わりませんでした。
 
無指向性のアンテナの適する用途は、使いたい周辺の一番電波の良いところに設置して、
ケータイが使えなかったところまでケーブルを使って電波を持ってくるイメージです。
無指向性のアンテナは、電波がもともと届いていない場所や届いていても干渉しているような所では効果を発揮できないのです。
 
【写真2】試作指向性アンテナ FOMAやVodafone3Gの2000MHz帯の携帯電話に使用できます。
 
開発担当:
じゃあ、試作した指向性アンテナを使ってみよう。指向性アンテナを簡単に説明すると、一定方向の電波に対しての受信性能を上げて、他の方向からの電波を受信しないアンテナです。希望波のある方向にアンテナを向け、他の方向にある干渉波の受信を抑えることができます。
 
 
電波太郎:
窓際から20mほど建物の奥に入った【図3】の電波太郎のいる所でFOMA用の試作指向性アンテナを接続し発信してみました。【写真2】
ただアンテナを繋げるだけでは、先ほど試した無指向性アンテナとさほど変わりません。
アンテナを通路に沿って窓方向(電波到来方向)に向け、「この方向かな?」「いや、この方向かな・・・?」と、ゆっくり動かしていくと、すごく音が安定する場所が見つかりました。
「この方向だ!」というところで、アンテナの方向を固定しました。
すると、アンテナピクトが「1本」から「3本」になりました。
発着信は、とてもスムーズになりました。音もクリアです。さらに、メールもスムーズにできました。
 
開発担当:
電波太郎君がアンテナを向けた方向は、希望波が飛来してきている方向になります。
干渉波を抑えて希望波をより際だてることで通話を安定させるのが指向性アンテナの特性なんですね。
高層階など、電波が干渉して携帯電話が使えないような場所や、無指向性のアンテナでは効果がなかったところでも、指向性アンテナによって通話品質の改善ができることが確認できました。
 
Vodafone3Gやauの実験についても、これからやっていこうと考えています。
 

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