こんにちは、電波太郎です。
前回は、山間部の圏外スレスレのスポットでの通話実験を行い、アンテナの利得によって携帯電話が使えることが確認できました。
レジャーの場では、携帯電話の通信がそれほど必要ないと思っていらっしゃる方もあるかと思いますが、実は、山間での緊急連絡などでは携帯電話が使えるか使えないかが命にかかわることが多いようです。
「平成16年中における山岳遭難の概況」(警察庁生活安全局地域課)によると
平成16年中における山岳遭難は、
○ 発生件数1,321件
○ 遭難者数1,609人
○ 死者・行方不明者267人 で
発生件数、遭難者ともに、警察庁で統計を取り始めた昭和36年以降、過去最高を記録した平成15年よりは減少したものの、発生件数は平成10年以降連続して1,000件を超えています。
また、山岳遭難を目的別に見ると1,609人中、ほとんどが登山、山菜狩りで発生しています。登山目的(「ハイキング、スキー登山、沢登り、岩登り」を含む)の遭難者が全体の67%(1,074人)と最も多く、次いで山菜採り・茸採りの26%(415人)となっています。
電波太郎:
山岳地での緊急連絡手段としては、携帯電話がすぐ思いつくけど、山の中では
電波が届かないんじゃないんですか?
開発担当:
いいえ、意外と携帯電話が通信手段になっているようです。
でも、立地的な制約から非常に不安定な通信手段になってしまいます。
これも警察庁の資料にありましたので紹介してみます。
【表1】遭難時の通信手段
(抜粋:平成16年度中における山岳遭難の概況/警察庁生活安全局地域課)
携帯電話が通信手段になったのは、全体の約37パーセントです。
圏外のために携帯電話が繋がらず、通信手段がない状態に陥ってしまうことも十分考えられます。
電波太郎:
登山、ハイキング、山菜狩りとすごく身近なところで、意外にも多くの事故が発生しているようですね。山間などに出かける機会が多くなる5月〜10月の6ケ月間で年間の70%近くの遭難が発生しているそうです。
開発担当:
遭難の原因としては「道迷い」が最も多く、全体の34%を占めています。
その際の救助要請には、携帯の普及に伴い、誰もが持っている携帯電話によるものが増えてきているようです。
でも、通話エリア内であれば万が一の時の連絡手段としては有効ですが、山間地や山岳では通話できるエリアが限られているのが現状です。
電波太郎:
GPS機能がついている携帯電話もあるから、道に迷わないんじゃないの?
開発担当:
確かに、携帯電話のなかには、GPS機能がついているものもありますね。
携帯電話付属のGPSは基地局とのデータのやりとりが必要で、電波がきていて
安定通話できるところだと使えますが、「圏外」や電波が不安定なところでは使用できません。
電波太郎:
道に迷ったときに携帯が使えるのと使えないとでは全然違いますよね、
アンテナによって使えるようにできたら最高なのにな!
開発担当:
そこで、通話エリア外の場所で外部アンテナを使ったらどの程度ケータイが使えるように
なるものなのか?
山間部の公園(通話エリア外)でFOMAとauの携帯電話で実験してきました。
(1) 携帯電話単体での通話
(2) 携帯電話に指向性アンテナを接続した時の通話
(3)携帯電話に(2)で使用したものより高感度(高利得)のアンテナ
【図1】実験で使用したアンテナ性能イメージ
図1より(1)携帯電話単体ではすべての方向から電波が到来しても受信できるようなアンテナが使われている。(2)の指向性アンテナはアンテナの向けた方向に対して受信する力をもたせたアンテナです。(3)は(2)のアンテナの指向性を鋭くして感度を向上したものです。
【写真1】山間部に位置するとある公園
まず、現在、ドコモの通話エリアマップではFOMAが圏外となっている山間部の公園で
試してみました。【写真1】
携帯電話単体では、通常は「圏外」もしくはアンテナマークのみで発信も着信もできません。
受信レベル値(RSCP※)は-113dB。
■ 携帯電話単体
発信:圏外になる
着信:圏外アナウンスが流れる
アンテナピクト表示:0本
品質:発着信不能であった。ダイヤル発信後すぐに圏外の表示になってしまう。
受信レベル値(RSCP) −113dBm
■ 外部アンテナを接続(指向性タイプ)

発信:時間がかかる。スポットによっては、まったくつながらない。
着信:圏外アナウンスが流れる
アンテナピクト表示:1〜2本
品質:発信動作はできるものの、時間がかかり繋がらない。話中音になってしまう。
受信レベル値(RSCP) −110dBm
■ 外部アンテナを接続(高感度指向性タイプ)
発信:スムーズに接続
着信:問題なし
アンテナピクト表示:3本
品質:アンテナの向きを簡易インジケータであわせるとアンテナピクト表示が「3本」に
なり安定した通話が可能になった。
受信レベル値(RSCP) −100dBm
この場所は、電波が弱く公式には通話エリア外のところでしたが、電波が到来する
方向に高感度指向性アンテナを向け携帯電話とケーブル接続でする事で通話できる
ようになりました。
アンテナの受信感度(利得)によってケータイの圏外を解決できました。
※RSCP (希望波受信電力)Received Signal Code Power
基地局からの受信電力の値で端末は一番強い受信電力の基地局(以下最勢力局と呼ぶ)と通信します。その時に携帯電話が受け取る受信電力の値
【写真2】近郊山間の山頂付近
次に、auのサービスエリアマップで通話エリア外となっている近郊の山間の山頂付近で実験を行いました。山頂付近では、携帯電話はアンテナマークのみの「0本」で時々「圏外」表示になります。発信してもなかなかつながらず、事実上、まったく使えないところでした。
■ 携帯電話単体
発信:圏外の為繋がらない。
着信:圏外アナウンス
アンテナピクト表示:0本
品質:発着信不能であった。ダイヤル発信はするが、すぐに圏外の表示になってしまう。
メールも送受信できなかった。
■ 外部アンテナを接続(指向性タイプ)
発信:繋がらない。
ダイヤル発信動作はするがすぐに圏表示になる。
着信:圏外ガイダンス
アンテナピクト表示:1〜2本
品質:発信動作はできるものの時間がかかり、話中音になってしまう。
■ 外部アンテナを接続(高感度指向性タイプ)
発信:スムーズに発信でき繋がった。
着信:問題なくすぐ着信できた。
アンテナピクト表示:2本
品質:安定通話が可能になった。
しかし電波到来方向にしっかりアンテナを向けないと
すぐに受信状態が悪くなった。
電波太郎:
今回は携帯電話単体、指向性アンテナ、高感度指向性アンテナの3種類で実験をしましたが、高感度指向性アンテナで効果が確認できたましたね。
一般的に、高感度指向性アンテナはサイズが大きくなり、持ち運びを考えると小型で携帯性の高いことが、重要ですね。この点では今回、効果が確認できた高感度のアンテナはまだまだ改善しなくてはいけない点がたくさんありますね。
開発担当:
通話エリア外で通信手段を確保することができる“携帯性に優れたもの”ができれば良いなと思っています。
皆さまの体験談やご意見など、お寄せください。
開発の参考にさせていただきます。
NTTドコモ通話エリアホームページ
KDDI(au)通話エリアホームページ
Vodafone通話エリアホームページ