こんにちは、電波太郎です。
「携帯電話はつながるけれども、オフィスの特定の場所で通話途中に急に音が悪くなって聞きとれず、困ることがあります。通話中音が途切れて何度も聞き直すようだと仕事の会話もスムーズに進みません」。
今回は、そのような電波環境のオフィスで、アンテナの実験をしました。
実験したオフィスは10階建てビルの9階のオフィスで、最寄りの基地局より200mほどのところにあります。
【図1】オフィス周辺環境
周辺はオフィス街で8階〜15階建てぐらいの建物が多く建っています。
このオフィスでは時々、音質が突然悪くなる事があります。
4ツの机を並べたある営業グループのシマがこのような症状になります。【図2】
取引先との通話中に切れたりすると大変なので、着信の時は大変気を使うとのことです。
そのため、オフィスでは携帯電話は使わないようにして、固定電話を使っているとのことです。
まず、DoCoMoのFOMA室内アンテナ(無指向性)をつないでテストをしてみました。
【写真1】FOMA室内アンテナ
窓側に無指向性アンテナを設置しました。【図2】(ケーブルの長さは5m)
アンテナの場所を何度か変えても症状はまったく変わらず、改善ができませんでした。4〜5回目で少し良い場所を見つけることができました。それは、窓際のロッカーの上です。
ここは場所が少し変わるだけでも電波の状態がかなり変化しているようです。
すると、時々割れたような音だったのが、クリアになりました。
ロッカーの上にアンテナを固定していることも、受信が安定した要因ですね。
結果的に上手くいきましたが、ケーブルが5mと短く、机まで届かず実際には使えません。
その上、アンテナ1本に携帯1台となるので、複数の人が同時には使えません。
次にケーブルを長くして(15m)、同時に複数の人(4人)が使えるようにした「無指向性アンテナ」で接続してみました(試作)。
【写真2】無指向性アンテナ(試作)
通話した感じは、FOMA室内アンテナのときと同じで、クリアに会話できるようになりましたが、アンテナの置く場所は同じ結果でした。
無指向性のアンテナは、全方向(360°)から受信するので、このような電波環境(干渉)では効果を発揮しにくいと感じました。市販アンテナを買って効果がなかったと感じている人の多くが、このような電波環境だと思われます。
この環境の電波を、測定してみました。
【図3】測定結果
レベルの高い多くの干渉波が到来し、電波状態が安定しておらず、時に一番強い干渉波が希望波のレベルを超え、順位が入れ替わる事も度々起っていました。また、干渉波全体の受信レベルが上昇した結果希望波のEc/No値が低下しました。
【実験機材】
携帯電話 NTTドコモ FOMA N900iS
測定機 アンリツ エリアテスタML8720B
次に、干渉波をアンテナの指向性でカットすることを目的に平面アンテナで実験しました。
アンテナから机のシマまでケーブルを15m伸ばして、分配器を経由して5mの細いケーブルでFOMAに接続しました。(実験では3台のFOMAに接続)
【図2】オフィス間取りと接続イメージ
まず1人だけで使用してみました。
音声は明らかにしっかりした音になり、音が割れたり切れそうになることもなくなりました。
普段、メールやインターネットでは時間がかかったり、エラーになったりしていましたが、スムーズに送受信できました。
次に、しばらくの間、3人で同時にそれぞれ自由に使ってみてもらいました。
通話、メール、インターネットともに問題なく使え、通信の安定を体感!できました。
この結果は、測定データからも実証できました。
【図4】干渉波6波から3波へ、希望波の利得アップとEc/Noの向上
無指向性アンテナで6波あった干渉波が指向性アンテナでは3波に減り、干渉波をカットしています。更にアンテナの指向性によって希望波の受信レベルがより高くなり、結果、電波状態が改善されました。
【図5】改善イメージ
今回実験したような都心のビル中高層階では、直接波、反射波、回折波など複数の電波がオフィス内部に届いて通話環境が悪くなり、携帯電話はどの電波と通信していいか判断できずに、つながりにくく、不安定になったりします。
色々な方向から電波が到来し干渉している所では、「無指向性アンテナ」では解決が難しく、「指向性アンテナ」が有効であり、複数の携帯を同時に接続して使えることが確認できました。
電波太郎:
干渉しているところでは「指向性アンテナ」によって改善できるのですね。
開発担当:
「無指向性アンテナ」を少しでも電波状態の良いところに置けば改善できるかもしれません。
でも、確実に改善するには干渉波をカットすることで実現します。
電波太郎:
都市部で電波が干渉していて音が悪かったり、メールが上手く送信できないオフィスでは、指向性アンテナと分配システムで解決できるのですね。
開発担当:
はい、そうです。
いろいろなユーザーの方の声をお聞きしながら進めています。
ご意見、感想など伺えればありがたいです。