電波感度をよくするケータイ・スポット・アンテナの開発Blog

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パッシブ・リピート・アンテナの試作モデルが完成!

2005.12.19

こんにちは電波太郎です。
この週末、本社オフィスを引っ越しました。今日から新オフィスでスタートです。
移転前の慌ただしい中、試作のアンテナが完成しました。
2GHzのFOMA、Vodafone3G用と800MHzのau用のパッシブ・リピート・アンテ」です。
 
これまでいろいろな場所の電波測定を行い、携帯電話が使えない電波の環境を4つ(圏外、弱電、弱電干渉、干渉)に分類しました。
パッシブ・リピート・アンテナの初期プロトモデルを設置し、それぞれの環境で携帯電話の使用感の改善や電波状態の変化を測定してきました。
 
高層階では見通しが良いために、多くの基地局の電波が届いて干渉を起こし、また部屋の奥では電波が弱くなっていました。
逆にビル地下では弱電や電波が届かずに圏外になって使えませんでした。
 
ビル地下の圏外のところでは、室内の再放射アンテナより5m〜10mのスポットで使えるように改善できました。
電波が干渉している高層階では、屋内の再放射アンテナから2mまでのところまでは効果を確認できましたが、それ以上の距離ではもともと飛来してきている電波とアンテナからの再放射電波の差がなくなり、ハッキリとした改善効果を感じられませんでした。
 
そこで、受信感度(利得)や指向面の改善など「パッシブ・リピート・アンテナ“システム”」としての改善に取り組みました。
 
電波太郎:
再放射アンテナからの通話可能距離を伸ばすにはアンテナの性能をさらに
あげるしかないよね。
 
開発担当:
単純に言うと「アンテナの性能を上げる」ということだけど、受信電波の強さを上げる(アンテナの利得を上げる)だけじゃダメなんですね。
ビル地下の圏外のように電波が届かないところでは、再放射アンテナからの電波の強さによって通話可能距離が決まります。
しかし、もともと電波が飛来してきている高層階ではそれだけでは解決できない
こともわかりました。
 
電波太郎:
たくさんの電波が届いていて干渉している高層階では、受信電波を強く
するだけじゃ解決しないということ?
 
開発担当:
違法ブースターは電波を増幅して(強くして)干渉波をブッ飛ばしてしまう。
そのため、基地局の通信に障害を与えるんだ。(憤!)
違法なもの作って売って、見つかったら理屈や言い訳をいろいろしてる…・
なんか強度設計偽装の関係者とよく似てるよな!
 
電波太郎:
そうだよね。
我々は法をしっかり守ってパッシブリピータを完成させよう!
ステップ・バイ・ステップで。
 
開発担当:
FOMAやVodafone3Gなどの第3世代携帯電話の電波は通話に使用する
「希望波」と「干渉波」と呼ばれる通信していない別の基地局からの電波を同じ周波数で使用しています。そのため、通信する基地局に指向性アンテナを向けて希望波だけを受信する必要がありました。【図1】
 
【図1】パッシブ・リピート・アンテナでの動作イメージ図
 
電波太郎:
それって指向性アンテナで解決するっていうことだよね。
 
開発担当:
そうです!電波太郎君の言うとおり。
でもね、実際はそんな簡単にはいかないんです。
指向性アンテナで受信した希望波を部屋の中の屋内アンテナで再放射しますが、
電波を放射した後、2mくらいのところで回り込んでくるその他の干渉波に
再放射の希望波が埋もれてしまうんです。
 
電波太郎:
部屋に入ってくる干渉波を何かで遮って入ってこないようにすれば
いいんじゃない?ビル地下の時のようにかなりの距離を使えるんじゃないの?
あの時は5m先でも使えるようになったよね。
 
開発担当:
私もそう思い実験しました。【写真1】【図2】
電磁波を遮蔽するカーテンを窓にかけて…
測定数値の上では電波強度が落ちたけど、干渉の改善を体感するほどの
効果はありませんでした。
 
【写真1】電磁シールドカーテンによる実験
 
【図2】電磁シールドカーテンによる実験図
 
電波太郎:
そう、あまり変わらなかったんだ。
電磁シールドカーテンの隙間や壁からも電波が入ってきたのかな?
 
開発担当:
シールドされていない壁などからも電波が入ってきていたようです。
でも、電波暗室のように上下前後左右の6面を完全に遮蔽しなくても、干渉波が少し下がれば…と思ったけど、あまり効果はなかったです。
やはり壁などからも電波が入ってこないようにする必要がありました。
パッシブ・アンテナで希望波を受信して、室内のアンテナで飛ばし、干渉波はカーテンで遮るイメージだったんですが・・・・・
 
電波太郎:
で、今までのテスト結果や実験をもとにパッシブ・リピート・アンテナ
試作をしたんだよね。
 
開発担当:そうです。
 
電波太郎:じゃあ新しいアンテナではどうなんだろう?
 
開発担当:はい、お見せしましょう。↓
 
【写真2】2GHz FOMA、VGS両用入射アンテナ
 
【写真3】800MHz  au用入射アンテナ 、mova用入射アンテナ
 
写真のような平面アンテナを試作開発しました。
主にアンテナの受信感度の向上と指向性の改良(干渉波対策)が主な目的です。
この試作アンテナはこれからフィールド実験を行っていき、その状況を順次ブログに載せていく予定です。

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開発の経緯とBlogの趣旨

2005.11.30

いまや携帯電話は欠かすことのできない生活必需品。
 
そして生活の空間は高層階から地下まで、上に下にますます伸びています。
 
最近、自宅やお店、事務所などで「電話やメールがつながらない」「切れやすい」など携帯電話の電波状態にストレスを感じている方は少なくありません。
 
 
 
MM総研の調査では
「3人に一人は電波状態に不満を持っている」04年度調査)と報告されています。
通話できるエリアを増やすため、各携帯電話会社では基地局の設置を前年比15%増(H17年6月末、95894局)と積極的に行っています。
 
また電波状態が良くないホテル、デパート、大規模な屋内施設などには
携帯電話会社の小型基地局が設置されています。中規模屋内施設やビル地下などでは携帯4社で共同のブースター装置(電波を増幅する装置)なども発表されましたが、まだまだ高価なために導入できるところが限られているのが現状です。
 
一方、電波法に違反するブースター(電波増幅装置)が一般業者によって販売され携帯基地局に通信障害を与えて大きな問題になっています。
 
 
このような中で私たちは、「電波を一切増幅することなく電波法に準拠する一般家庭や地下向けの
ケータイ・スポット・アンテナ” 」の実現を目指して開発をスタートしました。
 
携帯電話の通話エリアを増やしたり、
音質を良くするのは携帯電話会社のもっとも大切な仕事です。
 
この開発では、電波があともう少しのところで届かなくて困っている人々が快適に使えるようになるケータイスポットアンテナの実現を目指します。
 
本ブログでは、開発の経緯、現場の状況などをお伝えしながら、携帯電話の電波にストレスを感じている方々のストレートな意見もいただきながら、そのお役に立てるようなブログになることを目指していきます。
よろしくお願いします。
 

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FOMAユーザーは28%、auユーザーは19%が不満

2005.11.17

こんにちは、電波太郎です。
MM総研が携帯電話の電波接続状況調査の結果を発表しました。
調査によれば、全携帯電話ユーザーのうち音声通話に不満をもっている人は27%、データ通信は24%、平均するとまだ26%のユーザーが電波状態に不満をもっているとのことです。
 
携帯電話会社による基地局の増設により、不満を持つ人は昨年の37%(約3人に1人)からは
減少しつつありますが、まだ4人に1人はストレスを感じている現状です。
 
キャリア別ではFOMAユーザーは音声通話で31%、データ通信で25%、平均で28%が不満。53%だった去年と比べるとかなりFOMAのエリア改善は進んでいるようですが
auの不満ユーザーは19%なのでauと比較するとまだまだストレスを感じているFOMAユーザーは多いようですね。
不感の場所は地下(地下の飲食店)や電車内、建物内などで、まだまだ改善が望まれるところですね。
 
先日の新聞では、ドコモがFOMAの屋内型の基地局を今年の当初予定より800ケ所多い6400ケ所に上方修正するとの記事がありました
(日経新聞11.3)
都心を中心に、地下街や学校、オフィスビルなど人が良く集まる場所に集中して設置して、
今年3月の3800ケ所に2600ケ所(68%)をプラスして屋内エリアを強化するとのこと・・
 
身近なコミュニケーションツールを超え、生活に必要なツールになってきた携帯電話がどこでも快適に使えるようになることは、今まで以上に重要になってくると思います。
不感エリアが解消してどこでもストレスなく使えるようになればいいと思います。
私たちのケータイ・スポット・アンテナが、その一端を少しでも担うことができれば、超Happy!!です。

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コンセプトと対象ユーザー

2005.10.06

皆さんこんにちは、電波太郎です。
今日は、どんな電波環境を改善する携帯電話・スポット・アンテナを開発していくのか少し整理してみました。
 
■市販のアンテナを使っている人に聞くと、
「ケーブルがつながっているので使いにくい」、「ケーブルがなければ…」って言われるんですよね。
 
「ケーブルの長さも3mぐらいだし、携帯電話を持ってちょっと動いても窓際に置いているアンテナが倒れたり落ちたりして使いづらい」
「ケーブルが邪魔だし、スッキリしない」
「ケーブルをつないでいないとき電話がかかってきて、慌ててケーブルを携帯電話につないで使うのがとても面倒」
「いつもケーブルにつないでないといけないのでは固定電話と変わらない」
など…
 
よし、先ずケーブルをなくそう!
携帯電話の快適さを取り戻すためには、やっぱりケーブルでつなぐんじゃなく、ワイヤレスで使えるようにしなくてはいけないって思ったんです。
 
ケーブルでつなぐと一人しか使えないけれど、ワイヤレスだと同時に複数の人が使える!
ビル地下のお店やオフィスなど「携帯電話が使えない場所」ではワイヤレスで複数の人が同時に使えるようにならないと全然意味がない。
それでは、使い方は「ワイヤレスにしよう!」
 
■どんなアンテナ?
 
前回まで、使えない場所の電波環境を大きく5種類に分類しました。【図1】参照
いずれの電波環境の改善にも共通する点は要約すれば
1. 安定したより強い電波を受信し(希望波電力RSCPの向上)
2. 干渉比を可能な限り低下させる(Ec/Noの向上)  こと。  
ということで、特定の方向への感度をあげる(指向性利得のアップ)
指向性アンテナでいこう!
【図1】RSCP値とEc/No値と電波環境のカテゴリー
 
電波には「妨げるもののない空気中を伝わる場合、距離の二乗に比例して力が弱くなり、周波数が高いほど減衰が大きい」という特性があります。
movaやauの800MHzと比べて、FOMAやボーダフォンの2000MHz(2GHz)帯の電波は、同じ距離を飛んでもおよそ1/6に減衰してしまうんですね。
それに直進性が強いため、障害物に弱いのです。
減衰が大きいからといって増幅して減衰分をカバーするような違法ブースターは論外!
当然のことながら、電波法や関連の法規則に準拠したアンテナじゃないとダメ。
 
1. 電源を一切使わない
2. 増幅も一切行わない
3. 到来する電波に最適な指向性を確保して、より強い電波として受信するアンテナ
4. 受信電波の導波路としての同軸ケーブルと再放射アンテナだけのパッシブリピートアンテナ(電波法上、送受信機にあたらない)
 
携帯電話・スポットの広さは電波の環境や携帯電話の周波数、アンテナの特性などのさまざまな要素によって変化しますが、そのあたりもこのブログで取り上げていこうと思います。
 
■対象とする電波環境は?
まずは、電波が弱くて使えないような(弱電、弱電干渉、弱電圏外)環境を対象にしました。
具体的にはビル地下の店舗やオフィスです。
 
 
【図1】RSCPEc/Noと電波環境のカテゴリー
 
 ■対象とする携帯電話
ドコモのFOMA、vodafone3G(2GHz帯)とau、ドコモmova(800MHz帯)です。
今回開発を目指すアンテナのポジションはこのような感じです。
【図2】【図3】
 
【図2】開発するアンテナのポジション 

【図3】携帯がつながりにくい場所 
 
その後、高層マンションを対象にしたアンテナも追って進めたいと思っています。
高層マンションのユーザーとビル地下の店舗やオフィスユーザーでは、ニーズや求めるベネフィットも違いますから…
 
ビルオーナー、地下のお店、その他の協力を得て、まずはFOMAが使えないビル地下で実験を行ないました。
次回から数回にわたり、ビル地下FOMA編「携帯電話・スポット・アンテナのBefore−After」としてレポートします。
 
※ 補足説明
周波数
電波は電気の波のことで、1秒間に繰り返す波の数(振動数)のことをヘルツ(Hz)といいます。その振動する波の山と山の時間あたりの数が多い(周波数が高い)と電波は飛びにくくなります。FOMA(2000MHz)がmova(800MHz)に比べて電波が入りにくいのは、周波数に関係していることがいえます。
 
パッシブリピートアンテナシステム
アンテナから受信した電波を同軸ケーブルを使って伝送する、その際に増幅等の力を加えることなく伝えるシステム。図の様に入射アンテナと再放射アンテナの組み合せたアンテナ。
【図】パッシブリピートアンテナ 
 
RSCP (希望波受信電力)Received Signal Code Power 基地局からの受信電力の値で端末は一番強い受信電力の基地局(以下最勢力局と呼ぶ)と通信します。
その時に移動機が受け取る受信電力の値
Ec/No (最勢力局のRSCPと全受信電力の比)
携帯電話は各基地局との通信において基本的に1つの基地局と通信します。通話に使っている希望波とその他の受信電力との比。例えば基地局が近く電波の強度の強いところで通話をしていても、近くに別の基地局があり、かつ同程度のレベルの電波が飛んできていればEc/Noの値は悪くなります。逆に電波の弱い山中で通話をしていても、他の基地局の電波が飛んでいなければEc/Noの値は良くなります。

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携帯が使えねぇ~!

2005.09.21

 
ポケットの中で携帯電話が鳴る。ぷるるるるる・・・
(最近は大半着メロですが)はい、電波太郎です。
…あれ?もしもし?・・・プーッ、プーッ、プーッ・・・うーん切れてしまった。
ここ電波が悪いのかな?でも、アンテナマークはちゃんと「3本」立ってるのになぁ(・・?)
 
アンテナが「3本」立ってるのに切れるって一体どういうこと!?
不思議な感じですが、これは意外とよくある現象です。
私は、このように携帯電話を使っていて、携帯にアンテナが「3本」表示されているにも関わらず「つながりにくい、切れやすい、着信してもすぐ切れる」といったことで困っている方のストレスを解決する商品の企画開発を任命されました。
まずは、電波の悪いところに行く事にしました。
 
●意外と使えたりもする
 
まず携帯が使えない状況を確認するため、携帯電話のつながらないところに行って実験しようとしました。
 
携帯電話のつながらなさそうな所として部屋の奥があげられます。早速倉庫へGO!アンテナピクトは「2本」。試しに電話をかけてみました…。
 
「うーん。普通にかかってるぞ!」音質も良好で切れそうにありません。確かに4階にある事務所より1階倉庫の奥が電波が悪そうなのに・・・部屋の奥が電波が悪いとは限らないことと携帯電話の電波は意外と届いていることがわかりました。電波が良くて困るのははじめてです。
困ったなぁ┐( ̄ー ̄)┌
 
というわけで電波の悪い環境の代表例を考えました。
 
山の中、地下室、高層マンション高層階、その中でも人の生活圏でいうと高層マンションの高層階でまずやってみようと思いました。高層マンションなんてどこにでもあるじゃないかと思いますが、なかなか知り合いなどが住んでいないため、マンションでの実験はできないのかな…と半ばあきらめかけていました。
 
ところが、上司からいい話が飛び込んできました。建設中の43階建て高層マンションで特別に実験させていただけるとのことだったのです。
 

実験レポートを次回のブログにて報告したいと思います

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