こんにちは、電波太郎です。
昨今、都心のターミナル周辺の地下街では、携帯電話会社によるエリア整備がかなり進んできました。しかしながら、一般の中小ビルの地下は相変わらずほとんど圏外のようですね。
今回、ビルオーナー様、テナント様の協力を得て、ビル地下にある複数の店舗(携帯が圏外)にてワイヤード多分配システムのテストを行いました。
合わせて、分配器と同軸ケーブルを使って、携帯電話にワイヤード接続した場合の電波測定を行いました。同軸ケーブルの長さは1次分配器までが45m(アンテナからテナント向けに分配)、そこからテナント内に設置した2次分配器(携帯電話に接続するための分配器)までが25m、2次分配器から携帯電話に繋ぐケーブルは3m、5m、7mの3タイプで実験をしました。
アンテナから携帯電話までのケーブルは、実に最長77m。その間に4分配器が2台入る構成です。
■ テストをしたビルの電波環境
(屋外)10階建て程度のビルが多く建ち並び、ビルの4階より基地局が見通せる環境です。
この場所に指向性アンテナを設置
(屋内)地下の各テナント内部はもちろん、フロア通路も圏外で、携帯は全く使えません。

【図1】テスト構成のイメージ
■アンテナ :基地局が見通せる4階の窓際で、基地局にアンテナを向け設置
■1次分配器 :アンテナで受信した電波を各テナントへ分配(テナント向け4分配)
(今回はアンテナから45m先にテナント分配器を接続)
■2次分配器 :テナント内で携帯電話に接続する為の4分配器
実験構成を設置したのち、携帯電話の圏外が解消出来るか、早速地下テナントでの使用状態を確認した。【図1】
2次分配器から携帯電話接続用のケーブルを繋いでみると、圏外の表示がアンテナ3本に!
発信するとすぐ掛かります。着信もスムーズです。
メール、インターネットもサクサク快適。
同時に3人が繋いで勝手に使ってみましたが、全く問題ありません。
この場所が圏外だったことが信じられないくらい快適です。
ワイヤードでの改善を確認できましたが、具体的な電波状態を測定してみました。
【図2】測定ポイント
① アンテナ設置場所
電波は、希望波以外に2波ありましたが、希望波の受信電力は非常に高いです。
携帯電話のアンテナマークは3本。
①希望波受信電力 -71.4dBm Ec/No -10.1dB
②アンテナの受信電力
アンテナを基地局に向け、アンテナが受信している受信電力を測定しました。
指向性アンテナが希望波をより強く受信するため、Ec/Noの値が向上しました。
②希望波受信電力 -58.6dBm Ec/No -7.8dB
③ 1次分配器(テナント向け4分配器の直前)
アンテナから45mの地点で10dB減衰しましたが、Ec/Noはあまり低下していません。
③希望波受信電力 -68.8dBm Ec/No -8.1dB
④1次分配器通過後
4分配器を通した際、6.5dBのロスがありましたが、EcNoは良くなっています。
④希望波受信電力 -75.3dBm Ec/No -7.8dB
④〜⑥ 同軸ケーブルと分配器のロスが加わります。
希望波受信電力はロスにより下がりますが、Ec/No値は良い状態を維持できています。
【図3】測定結果
測定結果より、アンテナ②から2次分配後、⑥で希望波受信電力は33dBmも減衰していますが、Ec/Noの値はほとんど変わっていません。
基地局が見通せる②の電波環境を、⑥で再現できていることになります。
地下でも、電波が良好な地上と同じように通話ができるのは、このことによります。
今回の実験では、4分配器が2台、同軸ケーブルの総長が70m、専用携帯電話接続ケーブルが7mと、非常にロスが大きかったにもかかわらず、良好な結果を得ることできました。
スムーズな発着信、途切れや切断もない安定した通話、メールやWEB通信においても、極めて良好な結果を体感できました。
ワイヤードシステムは、アンテナで受信した電波を同軸ケーブルで携帯に伝えるため、電波が空気中を伝わるのとは違い、ほかの干渉波の影響を全く受けることがないためと考えられます。
このことは、今回実験したような地下にとどまらず、都心の高層階などでの干渉による障害を解決できることになります。