こんにちは、電波太郎です。
ビルが密集している都市部では、地下や高層階だけでなく低層階(1階〜2階)でも携帯電話が使えないという声をよく耳にします。【図1】
今回は、そのような事例の原因と解決策を取り上げます。
【図1】携帯が使えないオフィスの周辺環境イメージ
今回訪問したのは、ビルが密集する都心のオフィス街にある、5階建てビル1階の建築設計事務所さんです。
事務所は、ビルのエントランスから一番奥に入った1階にあります。
◆電波状態は
ビルのエントランス付近ではアンテナマークは「3本」ですが、通路を奥に入るに連れて2本になり、事務所の中はアンテナマーク「1本」、場所によっては「圏外」のところもありました。
仕事柄、取引業者との日常の連絡は携帯電話がメインだとのことですが、事務所内ではケータイ着信を受ける事が出来ないため、大変不便を感じておられました。

【図2】事務所の周辺環境イメージ
◆ 電波が悪く使えなくなる原因
・ 密集して林立するビルによって複雑に反射や回折をして飛来した電波は、遮蔽された部屋に届くと弱くなってしまいます。
・ また、複雑な経路を経て届いた弱い電波同士が互いに干渉しあって、さらに電波の状態が劣化しています。
・ そのため、不安定な通信状態になってしまっています。
電波太郎:
ビルがたくさんある都市部は、携帯電話の電波にとってあまり良い環境といえないのですね。
また、最近このようにビルの奥で使えないお客様が多くなってきていると聞いています。
大きなビルが建ったりすると、周辺の電波環境が変化してしまうことは良くありますよね。
キャリアさんは絶えずエリアメンテナンスをしています。
開発担当:
ビルの奥で携帯電話が使えなくて困っていることは以前からもありましたが、FOMAやVodafone3Gの第3世代携帯電話が使っている2GHz(2000MHz)の電波は、以前の800MHzより建物の壁などを透過する力は弱いです。だから、以前は部屋奥でも何とか使えていたのに、第3世代携帯電話に機種を変えたら使えなくなったという話を良く聞きますね。
電波太郎:
新しくして使えなくなったら、意味ないじゃないですか、どうすれば解決できるんですか?
開発担当:
当たり前のことだけど、まずひとつは「ケータイが使えるレベルの電波の状態を維持する」ことなんだ。
電波は空気中を弱まりながら伝わりますが、途中に壁などの障害物があるとさらに弱まってしまいます。ケーブルを伝わる電波は、空気中より遥かに減衰が少ないので、部屋の奥までケーブルで引き込んでも充分電波の強さを維持できているんです。【図3】
【図3】屋内での携帯電話受信レベル
アンテナを使わない場合だと、窓から入ってきた電波は部屋の空間を伝って携帯電話に届きますが、空中の伝搬ロスが大きく通話に必要な電波強度が得ることができないため使えないのです。
電波太郎:
アンテナを携帯電話につないで、電波状態がよくなることはわかりました。でも、アンテナのケーブルが少し邪魔だよね。ケーブルなしで使うことはできないのですか?
開発担当:
ケーブルなしのワイヤレスで使う場合(パッシブリピートアンテナ)は、キャッチする電波のレベルがある程度よくないと室内アンテナから電波を再放射できません。
また、今回のようなビルが建ち並び、電波が反射や回折をして届いている環境では、窓際でも受信する電波が弱く、ワイヤレスでの再放射は少し無理がありますね。
また、再放射した電波のレベルが充分でないと、もともと飛来している電波と干渉してしまいます。もともと電波が飛来していない地下などでは、このようなことはないです。
従って、今回のような環境では、窓際にワイヤードアンテナを置いて部屋奥までケーブルを持ってきて携帯電話に接続することで安定した通話が可能になります。
電波太郎:
無指向性のアンテナでは干渉波も全部拾うのであまりよくないですね。
指向性アンテナで余分な干渉波をカットして受信した良好な電波をそのままケーブルを使って携帯電話に送ることがポイントなんですね。
開発担当:
そうです。
個々の電波環境によって、ワイヤレスとワイヤードのどちらが適するのかの判断が、大事です。
様々なケースを通してそれを今、積み重ねています。