こんにちは、電波太郎です。
週末にレジャーで郊外に出かける機会が多くなってきました。つい先日、鈴鹿国定公園に行きましたが、800MHzの電波を使用する携帯電話は使えるのに、友人の2GHzの携帯は「圏外」です。車で走行中に見た時、基地局はそれぞれ同じような場所にあったのに・・・。
現在、国内の携帯電話で使用されている周波数は、800MHzの「mova」と「cdma1x」、1500MHzの「vodafone2G」、そして2000MHzでは「FOMA」と「vodafone3G」があります。
一般的に携帯電話の電波が弱くなる(電波の品質が劣化する)原因には、
1. 基地局からの距離による減衰
2. 建築物などの透過による減衰
3. 反射や回折、フェージングによる減衰 があります。
携帯電話の電波状態はこれら「伝搬するときの損失」、「電波の到来する方向」、「電波の到達遅延」などで大きく変化します。最適な通信環境を提供できるよう携帯電話会社は基地局の配置などを常に保守しています。
1.基地局からの距離による減衰
基地局のアンテナから放射された電波は、携帯電話に到達するまでの飛来距離があります。単純に基地局と携帯電話のアンテナ間に電波の進行を妨げるものがない場合、下記のような自由空間伝搬損失となります。【図1】
【図1】距離による自由空間伝搬損失
FOMAやVodafone3Gの2GHzの電波とmovaやcdma1xの800MHzの電波を比較すると、2GHzのほうが800MHzに比べて約8dB※(6.3〜6.4倍)伝搬損失が大きいことになります。基地局が同じ場所にあった場合、800MHzでは使えても2GHzでは使えないといったことがあるのは、このようなことが原因です。
また、到来する距離に関わらず、自由空間ではその差は約8dBとなっています。
Vodafone2Gの1.5GHzは800MHzと2GHzの間のような特性を持っています。
※【dB】=(デシベル)電気回路などで2つの値を比較する場合などに使用されます。
電気回路では千分の一とか一万分の一とかの値を表すことがあり、そのまま表示すると桁数が非常に多くなるのでdBで表しており、ここでは8dBと表記しましたが、大体6.3〜6.4倍に相当する数値となります。
2.建築物などを透過するときの減衰
携帯電話の通信は、常に基地局が見通せているとは限りません。
以前
このブログにも取り上げましたが、基地局が見通せない建物の中などでは、
建物の壁を通過する際のロスがあります。
【図2】建築材における伝搬損失(出典:西尾、加冶:昭59信学光・電波全大、No35)
電波は透過する建築素材によって、損失が大きく異なります。
例えば、断熱用グラスウールは800MHz、2GHzにかかわらず36〜37dBの損失で、電波が約5000分の1程度になってしまいます。
壁や天井に断熱用グラスウールが使われている建物では、携帯電話の電波は、特に伝わりにくくなっています。
また、建築材の透過損失に関しては、800MHzより2GHzの方が約1dBから約7dB程度(1dB=約1.25倍 7dB=約5倍)損失が大きくなっています。
3.反射や回折、フェージングによる減衰
「じゃぁ2GHzの電波はあまり良くないのか?」というとそうではありません。
携帯電話の電波は、反射や回折などで様々な経路で到来します。
到来する方向や時間的なズレで、フェージングや電波の遅延が起こります。
それぞれの波長の中で(800MHzで約37cm、2GHz15cm)複数の電波が打ち消しあったりして、電界がきわめて小さくなる所が連続的ないしは一様に発生します。
FOMAとVodafone3Gの採用している2GHzのW-CDMA方式は一つの電波の幅が5MHz(mova(PDC方式)の200倍の幅)広いため、PDC方式に比べてフェージングの影響は小さくなり安定した通話になります。
また、Cdma1xは一つの電波の幅が1.25MHz(mova(PDC方式)の50倍の幅)になっていて、800MHzの電波の特徴を持ちつつcdmaで電波の幅が広いため、フェージングにも強くなっています。
電波太郎:
携帯電話の電波は周波数によって伝わり方が変わってくるのですね。
開発担当:
場所にもよりますが、800MHzに比べて2GHzの携帯電話の電波は障害物を透過したり、廻り込んだりして浸透するのがあまり得意でないようですね。
その代わりに、CDMA方式によってフェージングの影響を受けにくくなっています。
CDMAの電波は幅が広いので、データ通信も高速になっています。
携帯通話エリアの拡大や音質向上は、携帯電話会社の最も大切な仕事であり、基地局もどんどん強化され、通話エリアの改善がどんどん進んでいます。
しかしながら一方では、自宅やタワーマンションやオフィスビルで電波の届かず、困っているユーザーも少なくありません。
多くの方からのご意見や応援、激励のメールを頂戴するにつけ、ユーザー自身が解決できる「法に準拠したアンテナ」を早く商品化できるよう頑張っていきます。