こんにちは、電波太郎です。
前回、オフィスフロアの奥まったところにある電波の届かない部屋まで、FOMA(2GHz)用アンテナのケーブルを延長して、そのスポットで携帯電話を使用できるよう改善テストを行いました。
今回実験したスポットも、オフィスフロアの奥側に配置されたミーテイングルームで、電波が弱くて通話が不安定なところです。今回はmovaとauの携帯(800MHz)で実験を行いました。
実験が仕事の邪魔にならないよう、電波状態の良い窓際から不安定な部屋までケーブルを敷くと約30mほどになりました。
写真1のように電波が入る窓際にアンテナを置きました。
【写真1】800MHz携帯電話用外部アンテナ
奥の部屋までは、窓際から直線距離では10m〜15mほどです。しかし、パーテーションやキャビネット、ロッカーなどがあって、電波の侵入の邪魔をしているようです。
問題の部屋のアンテナマークは「1本」です。
その部屋では、発信や着信が出来ない事も多く、通話中に途切れたり、切れてしまったりするようです。
またメールも送受信できないことが多く見受けられたりするそうです。「圏外」ではありませんが、快適に使えるといった状況ではありません。この部屋で打ち合わせ中に携帯をかけたり、着信があった時は一旦、部屋を出て電波がいいところに移動するような状況です。
そこで、窓際にアンテナを設置し、30mの同軸ケーブル(損失約5dB)を使い、電波が届きにくいオフィス奥の部屋に引っ張って携帯電話につなぎました。【写真2】
【写真2】電波入らないオフィス奥での携帯電話
アンテナとケーブルを使って携帯電話につなぐことによって、アンテナマークが「3本」になり、発信着信もスムーズかつ通話も安定しました。メールもバッチリです。
【写真3】実験に使用した800MHz携帯電話(左:ドコモmova、右:auCDMA1X)
さて、なぜ、アンテナの効果があったのでしょうか?
電波は空気中を伝わるとき次第に弱まり、伝わる途中に障害物があると、さらに弱くなる性質を持っています。
実験では、アンテナから携帯電話までケーブルでつなぐことで、空中を伝わるよりもロスをはるかに少なくできたため、奥の部屋でも安定して使えるようになったのです。
電波がビルなどの建物に入ってくるときにはまず建物侵入損(penetration loss)というものがあります。
建物侵入損というのは、建物内と屋外の境目付近と建物内中央部における受信レベルの差のことをいいます。侵入損はビルの大きさ、構造により変化しますが、
都市部における測定結果によれば、平均値は20dB程度の損失※1
また、800MHzの携帯電話の電波の侵入損はビル入り口からビル中央に向かう通路では、屋外のレベルに比べて1mあたり約2dBで損失が増加します。※2
(参考文献)
※ 1)森永隆広監修「移動通信−理論と設計−」電子情報学会編
※ 2)明山哲「複局同時送信時のゾーン間相関特性」昭63信学全大
実際実験したこのオフィスでも、ビル窓から中に入った電波が奥の部屋までを伝わっていくとき、パーテーション、ロッカー、キャビネットなど様々な障害物がありました。
オフィス内部の構造が複雑であればあるほど弱くなっていくんですね。
【図1】実験した環境(都市部のオフィス)
電波太郎:
うーん、少し説明が難しかったけど、ビル内では屋外に比べて格段に電波のロスが大きいって事ですよね。そこをロスの少ないケーブルで電波を伝えると、今まで携帯電話が使えなかったものが使えるようになりました。
当然のことですが、今回の実験アンテナも無線設備規則に準拠したものになっています。
開発担当:
そうです、以前も、屋内で人や壁で電波がどれくらいロスするかも実験しました。
電波太郎:
電波は建物の中が苦手なんだね、部屋の奥でも快適にケータイが使えるようにしたいです。