電波感度をよくするケータイ・スポット・アンテナの開発Blog

« 高層階でケータイが繋がらない問題を解決 | メイン | ボーダフォン携帯は外部アンテナが使えない…… »

高層階でケータイが繋がらない問題(Vodafone3G)

2006.02.22

こんにちは電波太郎です。
前回、タワービルの高層階でFOMA用の指向性アンテナの実験を行いました。
 
テストを行った高層階では、アンテナマークが「3本」であるにもかかわらず、通話中に音が途切れたり、通話が突然切れたりしていました。また、かかってきたときには「圏外」でもないのに、かけてきた相手に「圏外」アナウンスが流れるといった電波障害が起こっていました。
しかし、FOMA用に試作した指向性アンテナによって、この障害は解決しました。
 
そして、今回はVodafone3G携帯 (V802SH)を使って指向性アンテナの効果を検証を行いました。
実験を行ったところは、前回と同じタワービルの44階です。
 
少し、前回のおさらいをしますと一般的には
・携帯電話は、最も近くにある基地局(電波が強い基地局)と通信します。
・タワービルやタワーマンションなどでは、見通しが良いため、少し離れた別の基地局からの電波も飛んできて、干渉波として受信してしまう。【図1】
 
【図1】高層階での携帯電話の電波
 
今回の実験では、Vodafone3Gの2000MHz帯の携帯電話を使用しました。
 
そして、前回のFOMAのときと同じく、携帯電話の発着信と測定機による測定をしました。
 
【使用携帯】
Vodafone3G携帯 V802SH
【写真1】Vodafone3G携帯 V802SH
 
【使用測定機】
アンリツエリアテスタ ML8720B
【図2】タワービル44階見取図
 
電波太郎:
44階の窓際から20mほど中に入ったところで発着信のテストをしました。【図2】
まずは、携帯電話単体で発信してみました。携帯電話を持って少し動いただけでも、発信できたりできなかったりして、かなり使いづらい感じです。また、“ネットワーク検索中”と表示され、発着信が一時的に完全不能になることもありました。ここは、ほとんど使えない場所です。
 
【写真2】タワービル44階
 
開発担当:
測定機で測定した値で説明しましょう。
テストしたところの現状は【表1A】ですね。
希望波(赤字)は携帯電話が通信しようとする電波の値です。
干渉波は希望波以外の電波を示します。
干渉波の受信レベル(RSCP※)が希望波の受信レベルよりも低くて、かつ干渉波の数が少ないほうが電波の質(Ec/No※)が良くなります。
この場所では、希望波を含めて6つの電波がRSCP値で-103dBmから-110dBmまでのレベルで飛んできていています。そのため、希望波のEc/Noが−15dB以下と非常に悪くなっています。
 
【表1】窓際から20m入った通路での電波環境
 
RSCPはその時に携帯電話が受け取る受信電力の値で、通常は−90dBm以上あれば良好とされています。
Ec/Noは最勢力局のRSCPと全受信電力の比を表す電波の質を表現しています。値は高いほど良く−10dB以上あれば良好です。逆に−12dBから−13dBより値が下がった場合には、途切れたり通話が出来なくなるといったことになります。
 
RSCPEc/Noの詳しい説明は関連用語集のページを参照お願いします。
 
電波太郎:
アンテナピクトは「2本」表示しているんだけど、電話が発信できなかったり、着信出来なかったり・・・いっそうのこと「圏外」表示だと諦められるけどね。
とてもストレスを感じました。
 
開発担当:
そうそう、タワービルなどの高層階では、電波が受信できるので「圏外」の表示にはなりませんね。発信しようとしてつながらなかった場合に一時的に「圏外」の表示になることはありますが・・。
その場所の状況をもう少し詳しく教えてください。
 
電波太郎:
発信したとき、呼び出し音が聞こえるまでに20秒近く時間がかかることがありました。
発信相手が話中でないにもかかわらず、「話中」の音になりました。
着信に関しては、「圏外」でないにもかかわらず、かけてきた人に対して「圏外」アナウンスが流れてしまいました。また、「通話中に音声が途切れたり」、「無音になったり」、「相手の声は聞こえるが、自分の声は相手に届かない」、または「その逆の現象(片通話)」や、「音が途切れだして数秒後に通話が切れてしまう」という状況でした。
 
【写真3】V802SHのアンテナピクトは最大4本
 
開発担当:
それは、干渉が原因の症状です。
干渉しているという状態では、指向性アンテナが効果を発揮します。
次に、指向性アンテナを接続してみよう。
 
電波太郎:
V802SHに試作した指向性アンテナを接続しました。【写真4】
受信状態が良くなるアンテナの方向をゆっくり探しアンテナピクトが「2本」から「4本」になりました。【写真3】
発信、着信ともにスムーズになりました。接続後の通話音声も安定しました。
アンテナの方向調整はゆっくりと、電波が飛んできている方向をサーチライトで探すように慎重に通話の音質を確認しながら行いました。
それから、再度発信をしてみました。すると、発信時もすぐにつながりました。
つながった後の音声も、途切れることなく安定しています。
他の電話からかけてみましたが、「圏外」アナンスも流れることなくスムーズにつながりました。
指向性アンテナによって干渉による障害が解決できたようです。
 
開発担当:
測定機を接続して値を測定してみました。
指向性アンテナを接続することにより、5波あった干渉波が1波に減っています。
これはアンテナの指向性によって、アンテナの指向方向以外にある干渉波がカットされたと考えられますね。【表1】
また、干渉波を受信しなくなったため、希望波の質(Ec/No値)がアンテナが無い時は−15.6dBだったのが−10.5dBになりました。希望波受信電力も指向性アンテナの効果によって−83.8dBmに向上しています。【表1B】
 
【写真4】試作した指向性アンテナ
 
電波太郎:
【表1】の値はあくまでも指向性アンテナのコネクタ端の値です。
携帯電話につながったところの値ではありません。
携帯電話に直接アンテナを接続する場合の条件は、法(無線設備規則)によって決められています。
今回の実験も当然のことながら、それに準拠して試作し実験しています。
 

お問合せ・ご相談窓口はこちらから

用語集

お問合せ・ご相談窓口

ケータイどっとこむ

このブログのRSSを取得

Copyright (C)2007 k-taispot.com All rights reserved.