大阪市内の地上200mを超えるタワービルの48階で実験を行いました。
高層マンションや高層ビルで、ケータイの発着信ができない、メールが使えない、通話中に音が途切れたり切れてしまったりする、というような電波障害をよく聞きます。高層階では見通しが良いために、多くの基地局の電波が届いてしまったり、部屋の奥では到来した電波が弱くなっていたりして電波環境が悪くなってしまうためです。
今回、FOMAを使い電波の干渉や建物内部への電波の到達具合などの調査とFOMAの実際の使用感を調査しました。【図1】
調査初日は快晴。少し霞がかかっていましたが、10キロほど先まで見通せる天候でした。
【図1】高層階での携帯電話の電波
【図2】今回測定した超高層ビルの環境
このビルの48階の実験場所では、窓際から数メートル奥へ入るとFOMAの電波状態が悪くなっていました。
【図3】高層ビル内の環境
【写真1】FOMA端末 P901iS N900iS 【写真2】アンリツML8720B
【測定機による測定結果】
アンリツ製W−CDMAエリアテスタML8720Bを使用し測定を行いました。
【干渉パターン1=干渉】場所:①位置
窓際ではFOMAはスムーズに発信ができ、音質も良好でありましたが、
アンテナピクトが「3本」であるにもかかわらず、時々着信しないことがありました。
(5回中2回失敗)
希望波の値は正常だが、キャッチする電波が大きく変動して安定しなかった。
(
Ec/Noが
-8.2→-14.2)
アンテナピクト 2〜3本
(a)電波が良い (b)電波が悪い
測定値【表1】
【干渉パターン2=弱電干渉】場所:②③位置
FOMAでの発信は問題なくできましたが、着信は5回のうち2回しかつながりませんでした。
また、高層階の携帯電話へ着信させた場合、接続までに10秒以上かかっていました。
繋がれば概ね通話は維持できましたが、通話中の音の途切れが気になり品質アラームが鳴る事もありました。
測定では、干渉波による
Ec/Noが悪化していました。
(希望波以外に6つの干渉波が見られました。)
アンテナピクト 1本
【表2】弱電干渉のFOMA電波測定値
【干渉パターン3=弱電干渉】場所:④⑤位置
弱い電波がたくさん届いていますが、突出して状態のいい電波がないので通信状態が
不安定になり、時にはFOMAが圏外にもなります。
発信、着信を行ったが繋がるまでに10秒以上かかります。
着信し通話が始まってもすぐに通話中の途切れが起こり、通話が切断されることもありました。
また切れたあとに携帯が圏外表示になることもありました。
携帯の着信音は鳴っていますが、発信した側では話中の音が鳴りつながらないこともありました。
アンテナピクト 圏外〜1本
【表3】弱電干渉のFOMA電波測定値
【まとめ】
今回の調査で高層マンションや高層ビルでの携帯電話の電波干渉の多くのパターンのうち、3つを知ることができました。【図4】
1. パターン
1=通話する希望波の受信電力(RSCP)は比較的良いが、電波の変動の幅が大きいために回線の品質が悪くなり、急に使えなくなったりする。
2. パターン
2=希望波受信電力(RSCP)が弱く、多くの電波が干渉して安定しない。
希望波は他の電波より少しは良いが、場所を少し動いただけでも
変動が大きく安定しない。
3. パターン
3=希望波受信電力(RSCP)が弱く、
Ec/Noもよくない。
多くの電波は飛んできているが突出した良い電波がない状態
高層階で携帯電話が使えない原因は、ワンパターンじゃないようですね。
その部屋と基地局とのロケーションだけでなく、届いている電波の数や電波が来る方向、
電波の強さなどが様々に影響し合っているようです。
部屋が変わっても違う環境になることはもちろんですが、同じ部屋でも場所を変えたりしても電波環境が大きく変化します。
このことは、その場所の障害原因の解決に適したアンテナでないと改善の効果が期待できないということですね。
改善したい現状の環境をまずしっかり掴んでからアンテナを選ぶことが大事ですよね。
このあたりも今後まとめていこうと思います。
さて
一般的に、周波数の高い電波はその日の天候や気温によって届き方に違いがあるといわれますが、2000MHz(2GHz)帯のFOMAの電波はどうなのでしょう?
見通しが良い高層マンションや高層ビルでは快晴の日と雨の日では違うのかな?
初日は快晴でしたが2日目は雨の日でした。
次回はその違いなどをまとめてみようと思います。