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2005.11.01
前回、ビル周辺とビル地下の現状の電波測定を行い、ビル地下B1フロアの通路では、ボーダフォン3Gは圏外になって全く使えませんでした。
【図1】
今回、パッシブ・リピート・アンテナでどのように改善されるか実験してみました。

【図1】設置環境 (基地局は幸いにも200mほど先に見通せる環境)
パッシブ・リピート・アンテナの屋外用指向性アンテナを基地局に向け設置【図1】
同軸ケーブル(35m)を使って地下通路B位置付近から屋内用アンテナで通路C、D、E位置の方向へ再放射しました。【図2】

【図2】アンテナ設置前の携帯電話の電波状態
現状、通路A・B・C・D・Eは圏外になりボーダフォン3Gが使えない。
設置前は、地下通路すべての位置で圏外になり、携帯電話が全く使えない状態でした。Bの位置に、E方向(奥側)へ向け、再放射する指向性アンテナを設置してみました。【図3】
店舗が営業していない時間帯に測定しましたので、階段および、通路の測定になりました。
【テスト内容と結果】
使用した携帯:ボーダフォン3G V902T V802SH V802N V801SA
測定機:アンリツW-CDMAエリアテスタ ML8720B
上記、機器を使用し実際の使用感(発着信成功率や通話品質)と測定値を記録しました。

【アンテナ設置後】
■アンテナから1mのところ
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクト表示:3本
品質:良好でスムーズに発信着信が可能であった。
RSCP:−91.3【dBm】 ←設置前−114.7【dBm】(圏外)
Ec/No:−5.0【dB】 ←設置前−12.7【dB】(圏外)
■アンテナから2mのところ 
接続率:発信80% 着信100%
アンテナピクト表示:1本
品質:音質も良好であった。
発信着信まで少しかかりはしたが(7〜10秒ぐらい)
特にイライラはしなかった。
発信できない時が1回あった。
RSCP:−94.0【dBm】
Ec/No:−5.3【dB】
■アンテナから3mのところ 
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクト表示:1本
品質:発信着信まで少しかかりはしたが(7〜10秒)
繋がると音質は良好であった。
RSCP:−98.0【dBm】
Ec/No:−5.3【dB】
■アンテナから4mのところ 
接続率:発信60% 着信100%
アンテナピクト表示:1本
品質:繋がると通話中は音質も良好であった。
発信後、発信先相手は着信鳴動するが、電話をとると話中音になり、
通話が成立しない時があった。
RSCP:−97.3【dBm】
Ec/No:−5.0【dB】
■アンテナから5mのところ 
接続率:発信100% 着信80%
アンテナピクト表示:0〜1本
品質:100%繋がった。スムーズに発信が可能で音質も良好であった。
着信しないときがあった。
RSCP:−104.0【dBm】
Ec/No:−6.7【dB】
■アンテナから6mのところ 
接続率:発信100% 着信100%
アンテナピクト表示:0〜1本
品質:発着信とも100%できた。時に軽い途切れもあったが切れてしまうことはなく、おおむね安定して使えた。
RSCP:−103.7【dBm】
Ec/No:−6.0【dB】
■アンテナから7mのところ 
接続率:発信80% 着信80%
アンテナピクト表示:0本
品質:発信着信に少し時間がかかる(10秒くらい)が、通話の品質は問題なかった。
RSCP:−104.3【dBm】
Ec/No:−6.7【dB】
■アンテナから8mのところ
接続率:発信80% 着信80%
アンテナピクト表示:0本
品質:呼び出し音は鳴るが発着信できない時があった。
通話中に途切れることがあったが、通話は充分に可能だった。
RSCP:−108.0【dBm】
Ec/No:−7.0【dB】
■ アンテナから9mのところ
接続率:発信60% 着信80%
アンテナピクト表示:0本
品質:呼び出し音が鳴るが発着信できない時があった。通話中に途切れることがあったが、通話は維持できていた。
RSCP:−108.7【dBm】
Ec/No:−8.0【dB】
■ アンテナから10mのところ
接続率:発信80% 着信80%
アンテナピクト表示:0本
品質:呼び出し音が鳴るが発着信できない時があった。
通話中軽い途切れが出ることもあったが、通話できないほどではない。
RSCP:−107.3【dBm】
Ec/No:−8.0【dB】
■ アンテナから11mのところ![]()
接続率:発信0% 着信0%
アンテナピクト表示:圏外
品質:圏外になり、発着信できなかった。
RSCP:−114.2【dBm】
Ec/No:−12.5【dB】

【写真1】使用した3G端末
(左からV902T、V801SA、V802SH、V802N、V902T)

【写真2】○印B位置より奥へ電波を放射

【図4】アンテナからの距離とRSCPとEc/Noの変化
【テスト結果のまとめ】
1. 屋内アンテナから6〜7m先までクリアな安定通話が実現できました。
2. 時には、軽い途切れが出ることもありましたが、屋内アンテナから7〜10m先までは、おおむね使用可能になりました。
3. 屋内アンテナの前で通話を開始し、アンテナから通話しながら離れていくと、通路の一番奥(13m先)まで通話を保つ事が出来ました。
通話中に屋内アンテナの同軸ケーブルを外した瞬間に通話が切れてしまい、
パッシブ・リピート・アンテナからの再放射されている電波によって、通話できることを確認しました。
4. 屋内アンテナのもとで同時に4台のボーダフォン3G携帯で発信と着信を行ないました。
4台ともスムーズに発信着信ができ、音質も良好で全く問題ありませんでした。
(アンテナから3mあたりで実験)
5. 基地局が近く、見通せるということで屋外アンテナの設置環境は恵まれていましたが、屋内まで同軸ケーブルを35m引き伸ばしての実験であるため、ケーブルの減衰(約7.5dB)を考えれば、屋外環境の良さをある程度相殺した実験になったと思います。
6. 再放射後の電波は弱電でありながらもEc/Noの値が良い結果でした。ボーダフォン3GでもFOMAと同じ2000MHz帯の電波を使用しているため、同様のアンテナシステムで改善可能な事が実証できました。
今回のボーダフォン3Gの電波感度の改善テストは、おおよそ【図5】のような改善イメージになります。

【図5】RSCPとEc/No値の相関図
今回の実験を現在開発中の2000MHz用のパッシブ・リピート・アンテナに生かして、さらにバージョンアップしたアンテナへ商品化させたいと考えています。
近々、プロトモデル完成の予定です。
次回は、室内アンテナから受信する電波を、人などが遮った時の電波環境の変化や、屋内アンテナの使用できる範囲についての、実験結果をリポートします。