電波感度をよくするケータイ・スポット・アンテナの開発Blog

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FOMA用パッシブ・リピート・アンテナの効果と改善点

2005.10.20

前回まで、FOMAが繋がらないビル地下での実験結果をお伝えしました。今回はその結果をもとにパッシブ・リピート・アンテナの改善点をまとめてみました。

今回の実験では、基地局が見通せる場所に屋外アンテナを設置し、そこから同軸ケーブルで35m引き伸ばして屋内のアンテナで再放射をしました。
圏外でFOMAが使えなかった地下通路において、屋内アンテナから5m先まで通話が可能になり、通話スポットの改善はできました。
 
 
一方、基地局を見通せない場所にアンテナを設置した場合は、改善スポットは屋内アンテナから3mほどのところまでになりました。
 
次に、ケーブルつきのアンテナだと1人しか使えませんが、今回のアンテナはワイヤレスアンテナなので
「同時に複数の人が使用できるか」が、ひとつのポイントでした。
同じ屋内アンテナの下で複数の人が同時に使ったら携帯同士で干渉してしまうかな・・・と思っていましたが、3人が同時に使っても全く問題なく使用できました。

また「電波の入る地上からアンテナを設置した地下へ移動した場合」や「複数の屋内アンテナの間を通話しながら移動したときに切れることなく使えるかどううか」もポイントでした。基地局とケータイの距離とか急激に環境が変化するため、通話が切れてしまうかと気になっていましたが、何事もなくスムーズに通話はできていました。 

今回の実験では、FOMAが圏外のところの改善はできましたが、基地局が見通せない場所に設置した場合、通話スポットの改善余地があるように感じました。見通せない場所に設置したときの3mは、ちょっと寂しい気がします。見通せない場合でも6mぐらいは使えるアンテナにできたらと思います。
それには、パッシブ・リピート・アンテナのシステムとしての効率をさらに上げないといけません。
パッシブ・リピート・アンテナの基本に立ち返って対策を考えました。
 
 
【図1】パッシブ・リピート・アンテナ
基地局の電波を入射アンテナが受信し、同軸ケーブルを伝って再放射アンテナから電波を出します。
 

 【図2】パッシブ・リピート・アンテナの距離と電界強度イメージ図

大雑把に言えば【図2】のイメージのように、入ってくる電波を入射アンテナの利得でより強くし、効率よく同軸ケーブルで再放射アンテナに伝えます。そして、再放射アンテナの利得を利用し、最適な方向に向け、FOMAが受信する電波感度を改善するアンテナシステムです。

つまり、通話距離を伸ばすには入射アンテナの利得(感度)を上げ入射電力を強くするってことです。
実験に使ったアンテナの大きさは約450×250×150mmですが、アンテナを大きくすれば利得(感度)は上がります。単純に考えたら2倍の距離を飛ばそうとすれば、利得は6dBほど上げる必要がありますが、
アンテナの容積は4倍にもなってしまい、とても現実的ではありません。
 


また、利得だけあげれば良いわけでないことも、今回の実験で分かりました。
アンテナを設置する場所は、基地局を見通せて直接電波を受信できるところと、見通せなくて回折してきた電波やビルに反射した電波を受信するところがあります。高層マンションなどでは直接見通せるでしょうが、都心のビルの谷間では見通せないところのほうが多いと思います。
基地局が見通せる環境では、アンテナの利得の高く、指向性の鋭いものが性能を発揮します。
建物などにあたった回折波や反射波だと、指向性が鋭すぎたら実験では逆に電波を効率的に受け止めることができませんでした。よって、指向性が鋭すぎず、なおかつ感度が高いアンテナが理想です。
同軸ケーブルを伝わる時の電力のロスについては、ケーブルの長さが長ければロスが多く、短いほどロスが少なくなります。
現状5D−SFAという同軸ケーブルで35mのばした場合、7dBの減衰がありました。
仮に実験した同軸ケーブルを35m→10mにすればロスが5dBも減り、通話距離に換算するとおおよそ2mぐらい伸びる計算になります。同軸ケーブルのロスをいかに少なくするかもポイントですね。

次に、室内側の再放射アンテナです。実験では【図3】のような環境でアンテナを天井から真下を向けた場合、携帯電話を使用できる範囲が狭かったので、水平方向よりに指向性アンテナを向けました。
 
また無指向性アンテナで試したところ、携帯が使えるような改善効果は確認できませんでした。無指向性アンテナは、全方向に電波を放射してしまうので電力密度が薄まってしまい、結果として携帯が受信する感度の改善ができなかったように思います。

パッシブアンテナでは、利得のある指向性アンテナを使わないといけないようです。
しかも効率よく、より広い通話スポットを作り出すために、利得の性能と指向性の両方のバランスをとる必要があります。

今回のビル地下FOMA実験を通して、いろいろなことが分かりました。多方面にわたる
様々なデータ収集と使用感をテストできました。課題を乗り越えた、より良いパッシブ・リピート・アンテナに向けて、現在試作開発しています。完成しましたらこのブログで紹介する予定です。
 
 
【図3】再放射アンテナの伝搬イメージ図

次回は、今回の実験でも使いましたが、携帯電話の電波を測る簡易測定器を試作しましたので紹介します。携帯電話の電波の強さは目で見ることができず、唯一、携帯電話に表示される1から3本のアンテナピクト表示で知るだけで、かなり大雑把ですよね!
 よって、電波の強さを正確に知る事ができませんね。一般的には高価な測定器を使用しますが、もっと手軽に簡単に誰でもが電波の強さを分かるような簡易測定器を開発、試作しましたので紹介をします。

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